ロシアW杯へ香川真司の覚悟「誇りと責任を持ってやる」
苦い経験から、ワールドカップ本大会につながる直前の1年間が何よりも大切だと理解できた。前回ブラジル大会を振り返れば、2013‐14シーズンのマンチェスター・ユナイテッドで出場機会を失い、セレッソ大阪でプロデビューした2007シーズン以降で初めて無得点に終わった。 悪い流れを引きずったまま臨んだ憧れのヒノキ舞台は、コートジボワール代表とのグループリーグ初戦でシュート数ゼロのまま後半途中に交代。ギリシャ代表との第2戦ではベンチスタートとなり、コロンビア代表との最終戦ではチーム最多の5本のシュートを放つも空砲に終わった。 アルベルト・ザッケローニ監督のもと、大きな期待を寄せられた日本はグループCの最下位で敗退。責任を負うように涙した当時の自分自身を、香川はこう分析したことがある。 「あのときはまだ25歳で、いま考えればまだまだ未熟だった部分がたくさんあった。そうした経験を得たからこそ、メンタル的なところですごく安定していると、いまは感じている。個人的な技術やスキルに関しては積み上げてきたベースがあるし、劇的な変化を僕自身が望んでいなかったので」 求めたのは強い心。年齢的にもキャリア的にも最高の状態で迎えられる、と信じて疑わなかったからこそロシア大会を集大成と位置づけた。しかし、開幕まで1年となるタイミングで左肩を脱臼し、日本がロシア行きを決めた昨年8月31日のオーストラリア代表戦をベンチで見届けた。 香川とともにベンチウォーマーに甘んじたMF本田圭佑(パチューカ)は、2人が抱いた偽らざる本音をこう表現している。 「一番の収穫は、僕や真司が出なくても勝てたということ。当然ながら僕や真司は、そこに危機感を覚えるわけですよ」 悔しさを捲土重来への糧にしようとする姿が、ハリルホジッチ前監督の目には「2人の選手が少しがっかりしていたことを、私は悲しく思った」と映った。代表から外れた11月の欧州遠征では、フランス及びベルギーまで自ら車を走らせ、日本の戦いぶりを目に焼きつけた。