オーガニックコットンは、本当にサステナブル?
実際に数字が、そのハードルの高さを物語っている。オーガニックコットンの生産量は2019/20年の249,153トンから2020/21年には342,265トンに増加したものの、同年のオーガニックコットンの市場シェアは、全コットン生産量の1.4%にしか満たない(Textile Exchange, 2022年)。 オーガニックコットンと正式に認められるためには、大体3年以上、農薬や化学肥料を使わないで栽培された農地で育てなければいけない。有機農業は土壌にも農家にも長期的な利益をもたらすが、この転換期の3年間、農家は大きな負担を負うことになる。オーガニックコットンのニーズが増加しているとはいえ、簡単な一歩ではないのだ。
たくさんの人の手がかかって育つコットン
■コットン観察日記 7月30日:葉っぱに異変を見つけた すくすくと育ちはじめ、葉っぱも大きくなってきたコットンたちに、ある日、悲劇が……。それは恐れていた害虫の発生! どうやらとても小さいハエの幼虫が葉にもぐりこんで食べていることから、葉の光合成を邪魔している様子。 駆除するには、恐らく葉の先にいると思われる幼虫をピンセットでつぶすのが確実なようだけど、害虫のしわざだと理解した頃には、幼虫が食べ進んだ白い跡で葉がいっぱいになってしまっていたので、葉ごと取り除くことに。同じような被害がほかの葉にも複数でてきてしまったので、本当に本当に、喉から手がでるほど殺虫剤の力を借りたかった! さらなる対策として、成虫になったハエを捕まえるために、黄色のハエとりシートを設置。バッタやクモなどほかの虫が捕まってしまっているのを見つけたときは、罪悪感が……。ごめんね。
コットンを取り巻く労働問題
コットン農家の人々は害虫だけでなく、自然と向き合うゆえに立ちはだかるさまざまな問題に、日々取り組んでいる。本来、コットンを育てるためには、畑の掘り起こし、種まき、肥料の散布、水の散布、除草作業、人工授粉、殺虫剤の使用、除草剤の散布、綿花の摘み取り、綿繰り工場への搬入などといった工程があり、たくさんの人の手を必要とする。だから、児童労働や労働問題の温床になりやすい。