白内障手術にかかる費用はご存じですか? 保険適用と自己負担額の実際を解説
高齢化が進むにつれて、白内障を発症する人の数も増加しています。白内障の治療では手術を行うのが一般的ですが、手術といっても保険適用になるものとならないものがあり、金額もさまざまです。 【イラスト解説】「白内障」になりやすい人 6つの特徴 実際、白内障手術にはどれくらいのお金がかかるのでしょうか? きくな湯田眼科の湯田先生に教えてもらいました。
白内障とは?
編集部: 白内障の手術とはどのようなものですか? 湯田先生: 白内障を発症すると、目の中の「水晶体」と呼ばれる部分が濁ってしまいます。手術では白く濁った水晶体を取り出して、人工レンズを挿入します。 編集部: なぜ、水晶体が濁ってしまうのですか? 湯田先生: 白内障の主な原因は加齢です。つまり、加齢に伴って水晶体のタンパク質が変性し、白く濁ってしまうのです。そのほかにも糖尿病やアトピー性皮膚炎、紫外線、ステロイド薬の長期使用、外傷、生まれつきといったことが原因になることもあります。 編集部: 白内障になるとどのような症状が見られるのですか? 湯田先生: 水晶体はカメラでいうレンズに相当するもの。白内障になるとこのレンズが濁るため、視界が「かすんで見える」「見えにくい」「まぶしい」といった症状が表れます。 放置することによって失明に至るケースは稀ですが、治療をせずにいると視力がどんどん低下するほか、急性緑内障発作などの合併症を引き起こすこともあります。 編集部: 手術以外に治療法はないのですか? 湯田先生: 白内障の治療方法は、点眼治療と手術に分けられます。仕事や生活に支障が出ていない場合は点眼治療を行いますが、これは白内障の進行を予防するために行うものであり、水晶体を元の透明に戻す効果はありません。 そのため白内障により、仕事や日常生活に支障が出てきた場合の治療は、手術を受けてもらうことになります。
白内障の手術とは?
編集部: 具体的に、どのようにして手術が行われるのですか? 湯田先生: 角膜を2mm前後切開し、超音波を発生する吸引器具を眼の中に挿入します。そして眼の中に水を灌流(かんりゅう/流すこと)しながら混濁した水晶体の中身を吸引し、水晶体の薄い膜の中に眼内レンズを挿入します。 手術は局所麻酔で行い、多くの場合入院の必要はありません。 編集部: 白内障は一度手術を受けたら再発することはないのですか? 湯田先生: 眼内レンズは人工のレンズであり、水晶体の濁りは手術で完全に除去します。そのため、加齢に伴って再び白濁することはありません。ただし、なかには後発白内障を発症する人もいます。 編集部: 後発白内障とはなんですか? 湯田先生: 手術の際には水晶体の薄い膜を残し、そのなかに眼内レンズを入れますが、その薄い膜が濁ってきてしまう場合があるのです。ただしこの濁りはレーザー治療で解消することができ、治療時間も約1分程度で済むので、それほど心配はいりません。 編集部: 手術を受けることでどのような効果が得られますか? 湯田先生: 白内障によるかすみや眩しさが改善され、視力の回復が期待できます。白内障はゆっくりと進行するため、自分では気づかないうちに発症していることも少なくありません。 そのため手術を受けたあと、視界が明るくなることに感動して「もっと早く手術を受ければ良かった」と話す人はとても多く見受けられます。