東京都議選「決めようがない」 議員を選ぶ“成績表”公表のない都議会
ある都民の家庭で……もし息子個人の成績表がなかったら?
都民夫(みやこ・たみお)さんは妻と高校生の息子・都議一(みやこ・ぎいち)さんの3人で東京都内に暮らしています。世間では「働き方改革」も言われていますが、一人息子の学費捻出のため、残業もなんのその、忙しく働いてきました。ふと気がつけば、家庭をあまり顧みる時間がなかった民夫さん。しかし、議一さんの通う都議会高校で、もうすぐ編入生を含めた入れ替え試験があると知り、民夫さんは議一さんの成績がどのようになっているのか、心配になりました。 公開進まない政務活動費 インターネットで領収書公表は全国わずか50議会 「議一、今までちゃんと勉強してきたんだろうな」。 「うるさいな。やっているよ」。 「お父さんは議一には、いい大学にいってほしいんだ。そのためなら、高い授業料だってなんとかするよ。だから、一度成績表は見せなさい」。 しかし議一さんがしぶしぶ父親に見せたのは、クラス全体の総合得点だけ。個人成績表は「ないよ」の一点張りです。 「えっ、これじゃあ、今まで何してきたのか、まったくわからないじゃないか。今後のこと、決めようがないぞ」。……(つづく)。
都議一人ひとりの賛否結果は公開なし
23日、4年に一度の都議選が告示されました。都議会は、選挙で選ばれた住民代表である議員127人で構成されます。都知事が正しく都政運営しているか、予算をはじめ、さまざまな議案を適正にチェックし、決議することが議会の最大の役目です。また、議員自身が住民のためになる条例を考えることも求められています。 地方議会で日本一高額だった都議の議員報酬、政務活動費(どちらも2017年度は減額)私たちの税金から支払われてきました。では、4年間、都民のために各議員がどのような議論をし、どのような判断をしてきたのか……。 例えば、東京都議会のホームページを開いてみます。すると「都議会だより」や「会議の結果と記録」のところで、答弁や議決の結果、各会派の賛否を報告しています。しかし、都議1人ひとりが議案に対し、賛成・反対どのように行動したのか、また肝心の理由について明らかにしていません。また議員提出議案も、提出者の氏名や提出理由、だれが賛成反対したか、一目でわかるようになっていません。 つまり、民夫さんのようにクラス全体(=都議会)の総合得点を教えられてはいても、一票を投じるための重要な情報である議員それぞれの“成績表”は公開されていないのです。