東京都議選「決めようがない」 議員を選ぶ“成績表”公表のない都議会
小遣いの使い道を見せたがらない息子がいたら、あなたはどう思いますか?
さて、困った民夫さん。次に気になったのは、議一さんに渡してきた小遣いの使い道でした。 「議一、海外語学研修だの、勉強の合宿だって、何度も泊まりに出かけたけど、何を勉強してきたんだい。何か成果を見せてくれないか」。 「わかったよ、見せればいいんでしょ」。 そこで議一さんが、民夫さんに見せられたのは出かけた先々で仲間と撮った写真ばかり。何を学び、それが議一さんにどのくらい役に立ったのかは、これではさっぱりわかりません。 民夫さんはため息交じりで尋ねました。 「しょっちゅう問題集やら、参考書やら買うからって、小遣い渡したよね。買ったものぐらい見せなさい」。 「えっ、面倒だよ」。 「なんで見せないんだ。じゃあレシートくれないか」。 「レシートは学校に置いてきたよ。見たけりゃ都議会高校に来いよ。なんだよ、信頼できないのかよ」。 議一さんはふてくされた様子で、部屋に閉じこもり、鍵をかけてしまいました……(つづく)。
不備だらけの政務活動費公開
議員の調査研究のために支払われている政務活動費はそれぞれ自治体の条例によって使途や金額が決められています。都議会では、前年度まで地方議会で最も高い60万円の政務活動費が先払いされ、その収支報告書と領収書の写しを公開してきました。 しかし、議員がそれぞれ、どのような調査をし、どのような施策や住民福祉のために、政務活動費を使ったのか知るために欠かせない活動報告書、視察報告書は作成、公開の義務がなく、ほかの多くの自治体では議会に提出することになっている会計帳簿(出納帳)も必要ありません。公開したのが、個人情報保護を理由に氏名や金額を伏せた、不明瞭な“黒塗り”領収書では、例えばそれが生計を同じにしている親族に支払われていても、有権者は確認できないのです。 さらに、収支報告書と領収書の写しを閲覧するには平日に都議会議事堂まで行く必要があります。すでに一部の会派や議員は、ホームページやブログを用い、その使途を明らかにしてきましたが、都議会としては2017年度からようやくインターネット公開に踏み切ることになりました。 つまり現時点では、全都議が過去4年間の任期中にどのように政務活動費を使ったか、有権者がいつでも簡単に全容を把握できる仕組みにはなっていません。お金を一方的に支払っただけで、領収書すらすぐに確認できない民夫さんの状況と、まるで同じなのです。