小説『安曇野』の登場人物は2357人 「読む会」伊藤代表らが調査まとめる
長野県安曇野市出身の作家・臼井吉見(1905~87)の小説『安曇野』(全5部)の登場人物は2357人だった―。有志でつくる「『安曇野』を読む会」代表の伊藤正住さん(78)=堀金烏川=らが5日、市役所に太田寛市長を表敬訪問し、調査結果を報告した。人物ごとの登場するページや説明を載せたA4判148ページの一覧表と、A4判54ページの総合索引で、1年半をかけた労作を太田市長に手渡した。 伊藤さんは『安曇野』を長年にわたって繰り返し読んでおり、その経験を生かして登場人物の総数を調査した。臼井吉見文学館友の会会員の吉田希以子(けいこ)さん=東京都=の協力を得てまとめた。 2人によると、2357人の中には結婚して名字が変わったり、本名と号の両方が出てきたりするため、重複して数えている人物がいる。2357人とは別に、肩書などだけで氏名が出てこない人が300~400人はいるという。 伊藤さんは表敬訪問で、社会運動家の木下尚江(1869~1937)に関係する登場人物が飛び抜けて多いことを説明した。調査結果が『安曇野』を読む人の役に立つことを願い「次の世代の人に読み継いでもらえれば」と話した。太田市長は「とてつもない作業量。前人未到という言葉があるが、その通りだ」と2人の努力をたたえた。 市は『安曇野』の文庫版を復刊するため、費用の一部を募るクラウドファンディングを実施している。NHK大河ドラマ化を目指す方針も打ち出しており、今後、一覧表などの活用方法を検討する。
市民タイムス