【ミリタリーブリーフィング】「米国の武器を購入する、守ってほしい」…台湾のトランプ求愛作戦(1)
大統領選挙期間中に台湾に対して防衛費分担圧力を加えたドナルド・トランプ氏が当選した中、台湾が就任の贈り物として大規模な軍事購買提案を準備している。F-35ステルス戦闘機、パトリオットミサイルと共に米海軍で退役したイージス巡洋艦など中古戦闘艦も含まれている。 <1>台湾、トランプ次期大統領の就任に合わせて大規模な軍事購買を検討 トランプ氏は大統領選挙期間中、「中国を相手に台湾を防御するのか」という質問に対し、「台湾は防御のために我々にお金を出すべきだと考える」とし、防衛費分担圧力を加えた。この発言の直後、台湾の卓栄泰行政院長は自らを防御するためにより多くの責任を負担する用意があると明らかにしたが、その具体的な内容が表れた。 フィナンシャルタイムズ(FT)によると、台湾が検討中の米国産武器はF-35戦闘機60機、パトリオットミサイル400発、E-2Dアドバンスドホークアイ早期警戒機4機、中古戦闘艦10隻、イージス戦闘システムなど150億ドル規模だ。 台湾はF-35モデルのうち短距離離陸と垂直着陸(STOVL)が可能なF-35Bに関心が多い。中国のミサイル攻撃で主要空軍基地が脅威を受ける場合、短い滑走路や非常滑走路で作戦を遂行できるため、台湾ではSTOVL機能が極めて重要だ。しかし高い導入費用や引き渡し時期の遅延などのリスクのため、実行の可能性に疑問が提起されている。 台湾がすでに保有しているパトリオットミサイルは中国のミサイル攻撃に対応するため優先的にアップグレードされた体系だ。米国は2022年12月、台湾に対してPAC3 MSEを含む約100発の販売を承認した。E-2Dアドバンスドホークアイ早期警戒管制機は現在台湾が運用しているE-2Cホークアイより優れた性能を備えていて、早期警報能力が向上する可能性がある。 中古戦闘艦の導入は相対的に少ない予算で戦略的な価値を直ちに提供するという分析だ。台湾はタイコンデロガ級イージス巡洋艦やペリー級フリゲート艦など退役または退役予定の戦闘艦を買収することに関心を見せている。これら戦闘艦は中国の侵攻時に効果的な接近阻止・領域拒否(A2/AD)資産として使用される。 トランプ氏は1期目に台湾にF-16戦闘機、M1A2戦車、ハイマース多連装ロケットシステム、ハープーン地対艦ミサイルなど210億ドル以上の大型武器パッケージを販売することを承認した。しかしこうした大規模な武器購買提案にもかかわらず、中国の侵攻時にトランプ政権が介入するかについては懐疑的な意見が多い。 <2>フランス、有事の際、武器生産のため防衛産業業界退職者活用案を用意 フランス政府が引退した防衛産業従事者を活用し、有事の際、武器生産量を増やすための熟練人材プール「防衛産業予備軍」を設けている。フランス防衛事業庁(DGA)は11月12日、装甲車製作企業KINDS・Arquusと引退熟練工が新規採用者にノウハウを伝授し、国家が戦争に直面した際の潜在的熟練労働力不足を防ぐプログラムに参加するという契約を結んだ。 チャビスDGA庁長は米国防メディアのディフェンスニュースのインタビューで、「産業予備軍」のアイデアは溶接工から模型製作者またはエンジニアにいたるまで熟練した専門家プールを作り、他の人を教育したり以前の雇用主または他社の生産増大を支援できるよう活性化しようというものだと説明した。また庁長はフランスが高強度戦争への復帰に備えるのが原則だと話した。 この数十年間、フランス経済で製造業が占める比率が低下し、フランス産業は熟練した労働力を確保するのに困難がある。フランス政府の昨年の報告書によると、2030年まで約100万人の産業勤労者が引退する予想だ。 チャビス庁長は、自動車産業がフランス防衛産業企業に熟練した労働力の源泉になるもう一つの分野であり、DGAはすでに自動車製造企業ルノーとこの問題について協力中で、産業予備軍を満たすことができる他の会社もある、と伝えた。 フランス陸軍参謀総長ピエール・シル将軍はディフェンスニュースのインタビューで、この計画は非常に革新的であり、2024-30年の軍事プログラム法の目的として国防予備軍の数を倍に増やすというフランスのより大きな目標に便乗していると話した。 チャビス庁長によると、フランスの産業予備軍プログラムに加入した勤労者は技術維持・再教育のために毎年10日間の訓練を受け、その費用はDGAが負担する。その次に会社は予備役として服務する勤労者の費用を支払う。産業体から入隊する予備軍はフランス国籍を保有しなければならず、副士官または将校の軍人身分を持ちながら同じ階級の現役軍人と同じ水準の報酬を受けることになる。フランスは2030年までに3000人の防衛産業予備軍を目標にしている。 DGAは11月初めに造船企業ナバルグループと産業予備軍契約を締結し、フランス陸軍は3Dプリンティング企業Bistory、銃器製作企業Verney-Carron、そして維持保守のためにスカニアと似た契約を締結した。