センバツ明豊、振り返る 際立つ粘りと結束力 /大分
第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)で明豊は春夏の甲子園大会を通じて同校初となる準優勝に輝いた。甲子園の5試合のうち3試合はすべて1点差での勝利。粘り強さの裏には互いを信じ、相手を思いやるチームワークの良さが光っていた。 1回戦は、21世紀枠の東播磨(兵庫)との対戦だった。メンバーのほとんどが初の甲子園で浮足立ち、足をすくわれた。先発の京本(3年)は、普段は遠投で肩をならして試合に臨むが甲子園ではそれが出来ず、調子が狂った。太田(同)、財原(同)との継投でも9失点。 それを支えたのは野手陣だった。昨秋の九州地区大会ではむしろ投手陣に支えられて勝ち上がった明豊。この日は苦しむ投手陣に「打たれていいから」と声をかけ続けてもり立て、延長十一回のサヨナラ勝ちにつなげた。 4日後の2回戦は投手陣が奮起した。相手は今大会注目投手の小園(3年)を擁する市和歌山(和歌山)。1回戦後のミーティングで「野手の分まで頑張ろう」と話し合った投手陣。先発した太田と2番手の財原が相手打線を1点に抑え、勝利に貢献した。 準々決勝の相手は関西屈指の強豪、智弁学園。完全アウェーの状況で、幸が先頭打者本塁打を放ち、チームに流れを作った。さらに六回2死一、二塁のピンチで、左翼頭上の飛球を阿南(同)がフェンスに体をぶつけてキャッチ。守備が苦手で内野手から外野手転向した苦労人の活躍に会場から拍手が巻き起こった。 阿南は準決勝の中京大中京戦でも好プレーを見せた。一回2死二、三塁の場面で、左飛を背走して、転倒しながら好捕。今大会を最後に退任する木原裕飛コーチとの特訓の成果を発揮した。 東海大相模との決勝は1点を争う接戦に。九回、1死満塁で一打が出ればサヨナラの場面。相手打者の打球は遊撃手の幸のグラブをかすめて無情にも中前に転がり敗れた。京本は「幸だからこそグラブにかすった」と気遣った。 チーム発足時には川崎絢平監督から「過去最弱」と厳しい評価を受けた明豊ナイン。仲間を思いやり全力で戦う姿は見る人の心を熱くした。春の悔しさをバネに、夏には一回り大きくなった姿を見せ、今度こそ頂点を目指してほしい。【辻本知大】 ……………………………………………………………………………………………………… ◆明豊のセンバツの成績◆ 1回戦 10―9 東播磨(兵庫) 2回戦 2―1 市和歌山(和歌山) 準々決勝 6―4 智弁学園(奈良) 準決勝 5―4 中京大中京(愛知) 決勝 2―3 東海大相模(神奈川)