アリス・フィービー・ルーが語る、鎌倉とのつながり、ストリートから始まった音楽の意味
「音楽は誰もがアクセスできるものだと思うから、ストリート・ライブはずっと続けていきたい」
ー『Shelter』はタイトルが示すように、シェルターにこもって自分自身と向き合う感じもありますが、同時に成長と変化についても歌っていますよね。このアルバムを作った時はどのようなモードでしたか? ちょうどこのアルバムを出した去年は私が30歳になった年で。自分自身が居心地が良いと思えるところまで来れたと思ったの。もう逃げも隠れもしないで、私は私なんだというのを理解することができたから。この2年は事情があって家を持たなかったんだけれど、どこにいても自分というものがある限り、そこが家だと思えるようになって。それで自分自身の中にホームを見つけた時、私の中に入ってくるものがたくさんあったの。今まで理解できなかったこと、向き合わなかったこと、トラウマ、自分が避けていた問題といったものに向き合うことになって。『Shelter』は、そういう様々な断片を取り出して、私が解決してこなかったものごとを理解し、直面して、歌うことで、より居心地が良くてハッピーな場所にたどり着いた、そういうアルバムになっている。 ー一方、日本でレコーディングをする新曲はどのようなモードですか? ダンスできる曲だし、エネルギーもある。新曲はダークなところから浮かび上がって、光を見つけることをテーマにしていて。人生の中の障害となるものを取り除いて、自分を大切にすることにフォーカスしている。 ーあなたは元々ストリート・ライブから音楽を始めているし、今ではストリートでも、お寺でも、ビッグ・フェスでもライブをやりますよね。場所とお客さんはいろいろ変わりますが、どういうスタンスでライブに臨むのですか? ストリート・ライブが根底にあるから、今はどんなところでプレイしても、ちゃんと理解できてると思う。ストリートで演奏することでトレーニングにもなったし、人々が立ち寄りたくなるような温かみのある魅力的な空間を作る方法を教わることもできた。ストリートでは日常を生きている人たちをつかまえなきゃいけないし、彼らを引き込まなきゃいけない。コンサートやフェスでプレイする時も、1時間とか1時間半という時間の中で、お客さんたち全員とのつながりを作って、みんなが一つになれる方法を見つけなきゃいけない。これはどんなライブ環境にも当てはまることだから。私はいろいろな環境でライブをやるのが大好きで、そこでいろいろな自分と自分の音楽を発見できるし、チャレンジもあるし、常にわくわくすることもできる。今でも夏になるとベルリンの公園でストリート・ライブをやるんだけれど、いつだって素晴らしい経験になっている。親が子供を連れて観に来たり、コンサートのチケットを買えないファンが来たり、ファンにレコードにサインをしたり。音楽は誰もがアクセスできるものだと思うから、これはずっと続けていきたい。 ーアルバム・リリース記念のストリート・ライブもやりましたよね。 そうそう。長年サポートしてくれたファンに対する恩返しの意味もあって。成功したからと言って、そういうファンを忘れることなく、自分の基本に戻ってやりたいから。ストリート・ライブをやるたびにいつも思うのは、何故私は音楽を好きでやっているのかということだから。 ー年を重ねることで自分の中での音楽の意味は変わりましたか? 変わったと思う。音楽には癒しの要素もあるけれど、始めた頃はもっとバトルという感じだった。若かったから、自分の道を切り開くために戦う感じだった。自分の歌をもっと聴いてほしい、自分の求めているものを手に入れたいという戦いだったし、さらに言うと、レーベル契約もしなければ、コマーシャルな音楽もやらないから、そういう意味では私はその戦いには負けたことになってしまう。でも、それは良いことだと思っていて。自分にとって音楽がどういう意味を持つのかということにフォーカスできるし、売れるために戦う必要もない。私は今の感じが好きだし、これ以上のことを求めていない。自由を感じられるのもいいし、いろんなことにもトライできるし、私が何をやろうともファンは私の旅についてきてくれるから。ポップスターになりたいと思ったこともないし、今のこの活動スタイルが気に入ってやっている。今ではバンドのメンバーにもギャラが払えるし、ツアー先でもカウチじゃなくてホテルで自分の部屋に泊まれる。スゴくいいところにたどり着けているので、これをずっと続けていきたいと思っている。 Alice Phoebe Lou 来日公演 5月22(水)大阪・梅田クラブクアトロ ※当日券あり OPEN 18:00 / START 19:00 チケット ¥7,000 (税込/All Standing/1drink別) 当日券 ¥8,000 (税込/All Standing/1drink別) 5月23日(木)東京・恵比寿LIQUIDROOM ※当日券あり SUPPORT ACT 下津光史(踊ってばかりの国) OPEN 18:00 / START 19:00 チケット ¥7,000 (税込/All Standing/1drink別) 当日券 ¥8,000 (税込/All Standing/1drink別)
Toshiya Ohno