北海道産ハマナスで化粧品作り 移住者起業、過疎化進む町に「雇用を」
北海道浦幌町に、町花のハマナスを使ったオーガニック化粧品を開発する会社がある。町民のアイデアを製品化して起業したのは、「地域おこし協力隊」として町に移住した森健太(もり・けんた)代表(30)。肌への優しさにこだわった商品は全国各地で販売され、人気も上々だ。町は人口減や過疎化が課題で、森代表は「雇用や働き方の選択肢を増やしていきたい」と意気込む。(共同通信=英佳那) 浦幌町では子どもたちが地元に誇りを持てるよう、地域についての学習に注力してきた。その成果を発表する場で中学生がハマナスを使った商品開発を提案。2016年には「子どもに『いつまでもきれいでいてほしい』と言われた」という主婦の話をきっかけに化粧品開発が始まった。 龍谷大在学中に町内の滞在事業に参加し、卒業後に移住してきた森さんが開発の中心を担うことになった。「化粧品の知識もなく、ゼロからのスタート。一から勉強するしかなかった」
町の畑で摘んだ花びらを蒸留し、化粧水やハンドクリームなどに加工する。町民らと使用感やデザインなどについて話し合いを重ねた。北海道の乾燥に負けないよう保湿力を高め、敏感肌の人や子どもも使えるよう、天然由来成分のみを使うことにもこだわった。パッケージには町内の子どもらが描いたハマナスの絵を採用し、2018年に販売開始にこぎつけた。 商品化にあたって森さんが設立した会社の名前は、アイヌ語で「私たち」を意味する「ciokay(チオカイ)」。「浦幌の町民みんなで作り上げていこうという思いを込めた」 ハマナスは美白効果が期待されるビタミンCやシミを防ぐとされるポリフェノールの含有量が多く、購入者からも「使用感や香りが良い」と好評だ。商品は全国約130の百貨店や雑貨店などで販売されるまでになった。 森代表は「さらに販路を拡大し『ハマナスと言えば浦幌』というような地域ブランドにしていきたい」と意欲を語った。