【巨人】FA甲斐拓也の入団決定 本人が意思固める 5年以上の大型契約 阿部監督の直接出馬実り背番号「10」継承へ
ソフトバンクからFA宣言した甲斐拓也捕手(32)が巨人に移籍することが17日、決まった。この日までに本人が巨人入りを決断した。巨人のFA選手獲得は20年オフのDeNA井納、梶谷以来4年ぶり。前中日のライデル・マルティネス投手と正式契約し、前楽天の田中将大投手の入団も決定した中で、さらなる大補強が実現する。 甲斐は2010年の育成ドラフト6位で楊志館からソフトバンクに入団。そこから日本球界を代表する捕手にはい上がった。昨オフの契約更改では球団の複数年契約の提示を辞退し、単年の2億1000万円でサイン。「(FA権を)取ってからが本当のプロ野球選手だと感じていた」と熱い思いを口にしていた。 今季は119試合に出場し、打率2割5分6厘、5本塁打、43打点で4年ぶりのリーグ制覇に貢献。2年ぶり7度目のゴールデン・グラブを受賞した。捕手では11度の伊東勤、10度の古田敦也、城島健司の8度に次ぐ歴代4位となる勲章を手に入れた。 熟考した結果、国内FA宣言。「一度きりの権利だと思っていますし、野球人生においてもこのタイミングだけ。権利を使って、大きな決断にはなると思うんですけど、いろんな話を聞いてみたい。一番は自分を必要としてくれる球団。捕手として今までやってきたこと。どれだけ必要なのか話を聞きたい」と話していた。 巨人は今季、岸田、大城卓、小林の3捕手併用で4年ぶりリーグ優勝を果たしたが、さらなるバッテリー強化のために甲斐を本格調査。阿部監督は11月下旬には「来て欲しいよね。何で甲斐くんが欲しいかって、絶対的な司令塔が欲しいから。絶対的な司令塔がいればチームにとっても、とてつもない安心感がある。そういう支柱が欲しい」とラブコールを送っていた。 12月上旬には阿部監督が自ら福岡に足を運び、直接交渉の席についた。その席で捕手としての高評価や、なぜ甲斐の力を必要としているのかなど約1時間の交渉で熱い思いを伝えた。阿部監督の現役時代の背番号「10」も提示。最終的には甲斐側の意向も尊重して5年以上の大型複数年契約を要して最大限の熱意を伝えてきた。阿部監督の直接出馬が決断を後押しした。 巨人とソフトバンクは10日から5泊7日の同じスケジュールでハワイで優勝旅行。前日16日に帰国した。甲斐は優勝旅行に参加せず熟考。この日までに巨人移籍の意思を固めた。 巨人は阪神・大山、ソフトバンク・石川のFA獲得レースにも参戦。結果的に大山は残留、石川はロッテ移籍で獲得は実現しなかったが、リーグ優勝しながらCS最終ステージで敗れて日本シリーズ進出を逃した悔しさを晴らすため、積極的に大型補強に動いている。 ライデル・マルティネス、田中に続き、侍ジャパンでも経験豊富な日本を代表する捕手の甲斐の加入で、阿部監督が掲げる守りからリズムを作る野球をさらに強化される。来季のリーグ連覇、13年ぶり日本一へ新たな扇の要が一員になる。 ◆甲斐 拓也(かい・たくや)1992年11月5日、大分市生まれ。32歳。楊志館から2010年育成ドラフト6位でソフトバンク入団。13年11月に支配下選手に昇格。ベストナイン3度、ゴールデン・グラブ賞7度。18年日本シリーズMVP。21年東京五輪ベストナイン。通算1023試合、587安打、打率2割2分3厘、62本塁打、290打点、170センチ、87キロ。右投右打。
報知新聞社