SNS投稿で炎上…「産休クッキー騒動」が映し出した日本の職場の問題点
今年4月、産休前に職場などに配るクッキーを紹介したX(旧ツイッター)の投稿に批判的なコメントが数多く寄せられ、インターネット上で話題となった。なぜ〝炎上〟したのか。騒動からは、結婚や出産・子育て、職場環境などを巡る課題も透けて見える。 【アンケート結果】何歳まで働きたい? 年代別に聞いた ■「踏んづけてやる」 «産休をいただきます ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。» 炎上を招いたツイートは、赤ちゃんのかわいらしいイラストと、こんな文言がプリントされたクッキーの画像を投稿したものだった。 投稿者はこのクッキーを職場に配ろうとしていたとみられるが、投稿に対し«不妊治療をしている人に配慮が必要»«嫌みに感じる»などとするコメントが相次いだ。 「子供ができなかった方の気持ちの持って行き場がなく、ケアの仕組みがないのが問題かもしれないが…」。こうした反応を受け、画像がアップされたクッキーの製造会社を運営する「ドリームエクスチェンジ」代表の滝口信幸さんは、戸惑いを口にする。 この製造会社では、産休以外にも誕生日や母の日、退職のあいさつなど、さまざまな場面に合わせたメッセージやイラストが印字されたスイーツを販売。クッキーは10年ほど前から販売しており「営業や出張で外出している人にも、置いておいたら伝わる」と、女性を中心に一定の売り上げがあるという。 今回の〝炎上騒動〟を受けて、会社には誹謗(ひぼう)中傷のメールが複数届いた。中には匿名で«(このクッキーを)もらったら踏んづけてやる»という内容のものもあった。 滝口さんは「お世話になった方に、仕事を抜けるときに感謝の気持ちを込めて菓子を渡す。これが非難されるのはおかしい」と、疑問を呈した。 ■「休む申し訳なさ」 一方、育休に入る際、実際に職場にお菓子などを配った人からは「むしろ(お菓子などを)用意しない方が失礼」との声も聞かれる。 東京都港区の製菓会社に勤める女性(27)は昨年末、産休前に洋菓子を購入し「産休、育休をいただきます。復帰後もよろしくお願いいたします」とメッセージを添え、職場の給湯室に置いたという。 関わりの多い上司や同僚には個別のギフトを用意するなど、併せて2万円ほどの出費だったといい「繁忙期である年末年始前だったので、申し訳なさが大きかった」と、当時の心境を振り返った。