「住み込みの仕事は夜逃げ」100回以上“転職”した41歳男性が辿り着いた意外な“境地”
「性格のキツい人がいる職場は即辞める」
マーシー:長続きするお仕事の傾向として、一人の作業が多いというのは間違いなくあります。逆にお局みたいな性格のキツい人がいる職場は即辞めます。あと、苦手なのは愛知県の自動車工場の仕事とかですね。 ――意外ですね。工場は黙々と作業するイメージですけど。 マーシー:密にコミュニケーションをとることはないんですが、性格的に難がある人とかも全国から集まって採用されているので。本当にいろんな人が多すぎて、精神的な消耗が激しかったです。 ――とくに印象的だった職場のヤバイ同僚とかいますか。 マーシー:ヤク中っぽい人がいました。僕も意味不明な言いがかりをつけられて何回か絡まれたんですが、「ガンギマりってこんな状態か」と納得するくらい、瞳孔がぱっちり開いていました。 ――マーシーさんは正気を保ったまま仕事を辞め続けているだけですもんね。 マーシー:仕事はよく辞めますが、気は確かです。 ――自暴自棄になったことはないですか? マーシー:東日本大震災の影響で仕事探しが大変だった頃は、かなりメンタルを追い詰められましたけど。そういう状況でやっと見つけた仕事もすぐ辞めてしまい、仕事を続けられない自分に対する嫌悪感がありました。でも、グレたことはないです。 ――酒、タバコ、ギャンブルもやらないそうで。ストレス解消方法は? マーシー:食べるくらいですね。新しい仕事を始める2日前とかに“気合いを入れる”と称して、「ラーメン山岡家」でドカ食いするのが、自分の中でお決まりの儀式になっています。
面接に受かるコツと辞め方のコツ
――様々な仕事を経験して培ったスキルはありますか? マーシー:資格は普通自動車免許だけで、誰でもできるような仕事ばかりやってきたので、スキルというスキルはありません。場数だけやたら踏んで唯一身につけたのは、面接スキルくらいですね。約170社受けて142回転職していて、採用率は9割近い実績もあるので。“就活のプロ”を自称しています。面接ウケがやたら良いという。 ――面接のコツをぜひ教えてください。 マーシー:コツと言っても基本に忠実ってだけですけど。服装は紺色を基調にして、髪の毛は男性なら黒髪・短髪。笑顔と声のトーンをひとつ高くすることを意識するという。あとは職歴を2~3社にまとめて、志望動機をびっしり書けば、地方の中小企業はだいたい受かります。面接で聞かれることも、どこもだいたい同じです。 ――字が綺麗なことが特技だとか。 マーシー:面接でも字は褒めていただきます。大切な第一印象なので、綺麗な字を書くように意識していますね。 ――最近は退職代行も人気ですが、辞め方のコツは? マーシー:変に心配かけるのは私の本意ではないので、バックレてもショートメールや書き置きで、「一身上の都合で退職させていただきます」というかたちで意思表示を残しています。派遣の営業が自宅に来たって話をよく聞くんですが、私は経験ないですね。鬼電が掛かってくることはありますけど(笑)。 ――住み込みの仕事はどうやって辞めるんですか? 住み込みなので、バックレというわけにもいかないはずです。 マーシー:だいたい夜逃げみたいな感じです。岩手の農家さんで働いたときは農家さんに見つからないように夜暗くなってから荷物を自分の車に積み込み、夜中0時に夜逃げを決行しました。寮のトイレが不衛生で臭かったのが辞めた理由でした。 ――辞め方も堂に入っていますね。 マーシー:劣悪な職場を辞めるときは罪悪感もないんですけど、やはり従業員思いの親身な会社を辞めるときは、申し訳なくて自己嫌悪に陥ります。