「日朝韓の架け橋になりたい」サッカー選手・韓浩康が“共生共存”を目指し行動する理由
Jリーグを経て、現在、韓国Kリーグの水原三星ブルーウィングスでプレーする韓浩康(ハン・ホガン)が、今年12月、日朝韓の強豪校の高校生たちが集結する「MIRERO FESTIVAL 2023」を開催する。本フェスティバルのスローガンは「#かけろ」。日朝韓の架け橋になりたいと語る在日コリアン4世の彼が、オンザピッチでもオフザピッチでもその一瞬に「#かけろ」とメッセージを送る理由とは? (インタビュー・構成=中﨑史菜、写真提供=韓浩康)
サッカー選手として、在日コリアンとして
――プロサッカー選手として、スムーズなステップアップをされている印象ですが、これまでのキャリアを振り返ってみるといかがですか? 韓:自分の感覚としては「遅咲き」ですね。大学入学時も、スピード面、フィジカル面で大きな差を感じましたが、そこで腐ることなく、自分自身と向き合い続けられたことがよかったのだと思います。大学2年生の時に再会を果たした憧れの安英学(アン・ヨンハ)さんと時間を共にさせていただく機会もあり、自分に足りていないものを見つめる時間も多く設けることができました。 朝鮮大学サッカー部時代、他の部員がオフの期間も基礎練習や筋トレを怠らず、常に自分自身に矢印を向け続けましたし、「プロサッカー選手になる」という夢は常にブレず心の中にありました。公式戦のピッチに立つ機会もなく、理想と現実の狭間で憧れのプロの舞台が少しずつ遠ざかっている感覚の中でも、現実から目を背けることはありませんでした。 ――学生時代の経験が、プロサッカー選手として数少ないチャンスをものにするまで努力し続ける逞しさにつながっているのですね。 韓:はい。プロになって肌で感じたことは、プロになる選手たちは長所がはっきりしていますし、吐き気がするほど自分自身と向き合い続け、自身にしかない明確な武器を磨き続けているということです。 アン・ヨンハさんが学生時代にかけてくださった言葉に、忘れられない言葉があります。 「ピッチ上には仲間が10人いるけど、局面を切り取れば個々の勝負であり、すべての結果は自己責任。最終的には誰も助けてくれない。自分は立正大学に進学したけれど、友達を作りに行ったわけではなかったから、とことん自分に矢印を向けて、一つ一つの言動に責任を持ってやっていたよ」 この言葉が「プロサッカー選手になる」覚悟を決めた人生最大のターニングポイントになりましたし、プロサッカー選手になったあとも自分を後押ししてくれる言霊でもあります。