生成AIが盛り上がる中でアップルが出した「Apple Intelligence」、ライバルのAIとは異なる4つのポイント
Apple IntelligenceはアップルのOSに統合されているため、その上で動作するあらゆるアプリケーションと連動する。そして、それらのアプリケーションで扱う情報をApple Intelligenceの中で分析できる。複数のアプリケーションをまたいで連携し、複雑な機能や情報抽出を実現できるのは、Apple Intelligenceがあなたのことをよく知っているからである。 2つ目は“プライベートクラウド”とアップルが呼ぶ、新たな仕組みを用いることで、デバイス内のエッジAIとクラウドの大きなパフォーマンスを用いたAIをシームレスに統合していることだ。
アップルのAIソリューションは、基本的にはデバイス内で完結するエッジAIで処理される。デバイス内で処理される言語モデルのパラメーター数は30億。この規模はクラウド上で提供されるLLMに比べれば1桁少ないが、デバイス上で処理される質問に絞り込んでおり、個人的なタスクの多くはこなせる。 ちなみにマイクロソフトがCopilot+ PCに搭載するデバイス処理用の小規模言語モデル(SML)「Phi-Silica」は33億パラメーターだが、アップルはその原型となっている38億パラメーターのPhi-3-miniよりも文章生成において良い成績を挙げているという。
これだけでも、自社の持つ強みをうまく使っているが、4つあると書いた残りの2つもライバルが追従しにくい要素だ。 ■クラウドAIレベルのサービスを無料で提供 3つ目の違いは、クラウドに接続しながらもプライバシーを守るというiPhoneの理念と同じアプローチが言語モデルの中でも徹底されていることにある。 プライベートクラウドという技術を用いると、ユーザーはそれと意識する必要なく、デバイス内でのAI処理で不足する内容の処理を、アップルが設置するデータセンター内で動作するAIプロセッサーで実行させる。いわゆるクラウドAIである。