隣にいたボランチの“お手本”遠藤保仁の凄み。橋本英郎が語る、プロで生き残る術とは
実は理論派、考えるストライカー・大黒将志
意外な(?)思考力を持った選手として挙げたいのが、ガンバユースの1年後輩でもある大黒将志です。大黒といえば、ガンバユース同期の天才的なパッサー、二川孝広とのホットラインでゴールを量産したストライカーです。 ストライカーというと、あまり難しいことを考えずに自分の形に持っていってズドンと決めるエゴイスティックなイメージか、ポジショニングといってもオフサイドラインをかいくぐって抜け出すくらいのものと思っている人が多いかもしれません。 私も後に大黒と話してみて初めて知ったのですが、彼は点を取るために中盤でのパス回しなど少なくとも3手前のプレーを起点に先を読んで動いていたというのです。そのために、海外の優れたストライカーの映像を食い入るように見て参考にし、自分の出た試合のビデオを必ず振り返り、自分の動きとチームメイトの動き、クセをチェックしていたそうなのです。 大黒が雑誌のインタビューで「偶然はダメ。理屈でやるからゴールを決められる」と言っていたのですが、フランスやイタリアを経て、2019年までの22シーズンで222ゴールを決めた理論は、最近話をしてすごく納得がいくものでしたし、自分に近いものを感じました。 (本記事はエクスナレッジ刊の書籍『1%の才能』より一部転載) <了>
[PROFILE] 橋本英郎(はしもと・ひでお) 1979年5月21日、大阪府生まれ。ガンバ大阪のアカデミーを経て、1998年にトップ昇格。練習生からプロ契約を勝ち取り、不動のボランチとしてJ1初制覇、アジア制覇などガンバ大阪の黄金期を支えた。その後、2012年にヴィッセル神戸、2015年にセレッソ大阪、2016年にAC 長野パルセイロ、2017年に東京ヴェルディ、2019年にFC今治に移籍してプレーし、2022年おこしやす京都ACに選手兼ヘッドコーチとして加入。現役選手としてプレーしながら、Jリーグ解説者、サッカースクール・チーム運営など幅広く活動。日本代表としては国際A マッチ・15試合に出場。2023年1月に引退を発表。25年間の現役生活に終止符を打った。
文=橋本英郎