【中学受験相談】親のモチベーションが上がらないまま6年生に突入します|VERY
親がよっぽど強引なことをしなければ大丈夫。子どもは勝手にやるから
K:私、直感で動いてしまうタイプで。子どもに「これいいと思う」って言われても、「でもこれにママ、お金を払いたくない」と。 オ:お母さん面白いですね。だからまあ、そういうちょっと変わった興味がある子であれば、一貫校向きかなっていう気がしますね。で、最終的には大学だからともおっしゃってましたね。 K:神道、古事記は大学じゃないと極められないんじゃないかなって。 オ:ああ、最終的に大学が大事って、そういう意味ですね!なるほど、国文学科のある大学に入るかって。 K:でも将来もう少し興味が変わるかもしれないって。多分そのブレがあるんです。 オ:多分興味は変わりますよ。 K:そうですよね。美術もとても好きで図工の教室に通っていて、今塾が週4で、それプラス図工教室に行くと平日お休みの日がないので、「休んだら?」って言っても、「図工が息抜きだから絶対行く」と。我が子ながら面白いなって。ちょっと変わっているがゆえ、導き方を間違えたら違う方向にいってしまうのが怖くて。 オ:違う方向? K:変わりすぎているがゆえに、親の言うことを100%で聞くっていう感じではないので。まあ今のところ100%聞いてはいるんですが、成長につれて、どうしたらいいのかなって。間違えたらダメだなって。 オ:親がよっぽど強引なことをしなければ大丈夫。子どもは勝手にやるから。さかなクンの映画『さかなのこ』ってあったじゃないですか。どういうふうに親に育てられたかって。それが本当に参考になりそうな気がする。 K:あの方に似ている気がする。私がそこまで極められることってないので、正直うらやましい。本がボロボロになるまで読んでいるんです。神社に行くときは、常に古事記の本を持って、ここは誰が祀られているんだろう、「あ、この人だ」って。巫女さんのところへ行って「ここのご祭神は誰ですか?」って、興味があるところはズンズンズンズン行ってしまうので。 オ:でもどこかで「もう古事記いいや」って言うかもしれないんですよ。で、全然違うことに興味を持ち出したりして。でもそれは全然良くて、古事記で何か一つのことを掘り進めていった、その力が横にスライドするだけだから。古事記に対する探究心が受験直前期に、受験するんだからって思ったらグーッと、同じ力で行けるんですよ。だから習い事でも何でもいいんですけど、一生懸命やっていることがあったら犠牲にしないほうがいい。 K:あ、じゃあ図工も続けたほうが。 オ:その分を削って2~3時間を捻出したら何ページか問題が解けて少しでも学力が上がるんじゃないかって大人は思っちゃうんだけど、そんなことないから。 K:私、どっちかというと休んで欲しいと思っちゃうんですよ。頭休めて、体を休めて、リラックス。 オ:素晴らしいですよ。個性がのびのび生かせる学校に入れるといいけれど。多少中間、期末テストをサボっていても、「君、古事記やってんだ。それならしょうがないね」って言ってくれる学校。 K:それを見抜くには見学しかないですよね。 オ:そうですね。そういう意味じゃ、本当に学校見学はたくさんしたほうがよくって。 K:学校見学っていうのは、説明会でいいですか? オ:説明会でいいと思いますよ。文化祭や運動会ではわからないです。そこでどういう語り方をするか、何をアピールするか。でも最近はビジネスプレゼンテーション的な気持ち悪い語りをする学校が増えているんですよ。 K:それはイヤですね。 オ:もっとありのままの自分たちを語ってほしい。「我々はこういう学校ですので、ご縁があったらご一緒しましょう」というのがあるべきスタンスだと僕は思っていて。 K:私の中で、生徒を見て合う合わないをどうしても決めたいなと思ってしまうんですが、それって間違いなんですかね? オ:生徒を見るなら、登下校の様子を見たほうがいいですよ。 K:あー、それが素だから。 オ:そうそう。どんな顔して学校から出て行くか、学校に入っていくか。ね、どんな雰囲気でどんな背中で入っていくかって、それでわかると思うんですよね。あとあれかな、一つあえて気になるところを申し上げるとするなら、お母さんが自分の感覚で「これなし!」ってしちゃうっておっしゃったけれど、そろそろお嬢さんの気持ちもね、いきなり否定しないで受け入れて。 K:うっ……そうですね。 オ:「どうせ否定されちゃうんでしょ」って思っちゃうと、自分の気持ちがわかんなくなっちゃうから。 K:そうですね。確かに……意見を言えない子になっちゃう。それは気をつけます。 オ:もしかしたらお嬢さんが好きだと言った学校をいくつか合わせてみると、「ああ、この子はこういうのが好きなんだ」って、お母さんとは違う観点が見えるかもしれないから。 K:ここは一番気をつけなきゃいけないところですね。 オ:あー、言っておいてよかった(笑) 【おおたさんからひとこと 】 テーマは多岐にわたりましたが、自分の直感で何でも決めちゃうお母さんが、このままの自分でいいのかしら?と不安を感じ始めている。それが今回の相談の本質のような気がします。子離れの始まりですね。
【Profile】おおたとしまさ 教育ジャーナリスト。教育現場を丹念に取材して独自の視点で考察する筆致に定評がある。『なぜ中学受験するのか?』『中学受験生を見守る最強メンタル!』(いずれも光文社)など著書は80冊以上。 イラスト/Jody Asano コーディネート/樋口可奈子 編集/羽城麻子