目利きが選んだ、いま行くべき個性派書店とブックホテル9選
書店が年々減りつつある一方で、ユニークな選書が特徴の独立系書店も誕生している。最近オープンまたはリニューアルした注目の書店とブックホテルを紹介する。 【写真多数】記事の画像をすべて見る。最近オープンまたはリニューアルした注目の書店とブックホテル。
<最近オープン、リニューアルした注目の書店> 【錦糸町】ツェルト ブックストア
「生きるための本」を並べ、地域の交流の場にも 空間設計の柴山修平と、画家でイラストレーターの伊藤眸(ひとみ)が2023年6月から運営し、「生きるための道具」をテーマに選んだ書籍や雑貨などを販売。「私は出不精だけど、本屋だけは気兼ねなく行けます。それに、本は誰かの知恵や人生を自分のものにでき、読んだ人の“生命力”を上げられる媒体。そこで、このコンセプトに決めました」と伊藤。20年の転居時はボロボロだった元履物屋の物件を住みながらリノベーションしていき、ステッキと布だけでつくる簡易テント「ツェルト」を店名に掲げた。当初はデザイン関係の客が多かったが、最近は近所の人も訪れ、交流の場としても機能し始めている。
【錦糸町】サカナブックス
出版社が本気を出した、魚にまつわる専門書店 約60年の歴史がある「週刊つりニュース」を発行する週刊つりニュース社が、社屋の1階に魚にまつわる本や雑貨を集めた「サカナブックス」をオープンしたのは22年7月のこと。もとは応接スペースだったが、コロナで来客も減り、なにかしたいと3代目社長の船津紘秋が発案。「釣りの本はそう多くなくても、魚に広げるとたくさんあるし、魚好きは大勢いるはず」と始めたところ、SNS効果もあり予想以上の客が訪れることに。もともとあった釣竿や魚籠を展示する釣り文化資料館の見学も合わせて、長く滞在する人も多い。個人の熱い思いあふれるZINE、魚料理の本、環境を考える本、絵本など選書は幅広い。
【外苑前】新建築書店|Post Architecture Books
建築専門出版社が協業で、アートブックを販売 建築専門出版社の新建築社と、アートブック専門店POSTを運営するlimArtの協業で、2022年8月にオープン。新建築社がオフィスとして使っていた場所だが、社長が「本屋をやりたい」と決断。環境、素材、人類学、都市などのキーワードごとに関連付けられた本すべてを建築書と捉え、選書をしている。「欧米ではインテリアにもなるコーヒーテーブルブックという文化があります。気に入ったものを買って部屋に置いてみては」(店頭スタッフ・小山飛日)
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- 【写真】【江戸川橋】コ本や/店主の青柳菜摘。23年に自身の詩集『そだつのをやめる』で中原中也賞を受賞。映像作家や詩人など、クリエイティブな活動を続けるスタッフが店頭に立つ。
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