自衛隊機の飛行差し止め認めず 損害賠償は一部認容 厚木基地の騒音訴訟 横浜地裁
在日アメリカ軍と自衛隊が共同で使う神奈川県の厚木基地の騒音被害をめぐり、周辺の住民らが国に損害賠償と夜間・早朝の飛行差し止めを求めた裁判で、横浜地裁は損害賠償の支払いを命じたものの、飛行差し止めは認めませんでした。 厚木基地の周辺に位置する大和市、綾瀬市など8つの市の住民らおよそ8700人は、国に対してアメリカ軍の飛行機と自衛隊機の夜間・早朝の飛行差し止めと、合わせておよそ131億円の損害賠償を求めていました。 今回の第5次訴訟では、最大の騒音源とされていたアメリカ軍の空母の艦載機が、2018年に山口県の岩国基地へ移ってからの騒音の評価が争点になっていました。 きょうの判決で横浜地裁は原告が求めたおよそ131億円のうちおよそ59億円の損害賠償を認めました。 一方、飛行差し止めについては、「住民らの被害は軽視できるものはない」としつつも、アメリカ軍機については「存在しない処分の差し止めを求めることは不適法」として、また、自衛隊機については、運航に高度の公共性・公益性が認められることや、空母の艦載機が岩国基地に移って騒音が軽減したなどとして、どちらも飛行の差し止めは認めませんでした。 騒音訴訟をめぐっては、第4次訴訟で横浜地裁と東京高裁の判決で周辺住民らに賠償を認め、防衛大臣がやむを得ないと認めた場合を除いて、午後10時から翌日の午前6時まで自衛隊機の飛行を差し止めるよう国に命じました。 しかし、最高裁が2016年に「運航には高度の公共性がある」として住民逆転敗訴の判決を言い渡していました。
テレビ朝日報道局