【プレイバック’04】女子バレー人気復活の立役者・メグ&カナに突き付けられた〝メダルへの課題〟
10年前、20年前、30年前に『FRIDAY』は何を報じていたのか。当時話題になったトピックをいまふたたび振り返る【プレイバック・フライデー】。今回は30年前の’04年6月4日号掲載の「ロシア戦惨敗で〝課題〟山積み!女子バレー メグ&カナ『メダルへのアキレス腱』」をお届けする。 【秘蔵画像】か、可愛すぎる…!まるでアイドルな栗原恵「ハニカミ笑顔」にファン歓喜! バレーボール日本女子は’04年5月に行われたアテネオリンピック最終予選で2大会ぶりに五輪出場を決めた。おりしも前年のW杯からの〝メグ・カナ〟ブームの盛り上がりもあって、ファンの間でもメダルへの期待が膨らんでいた。しかし、現実はなかなか厳しいようで……。(以下《 》内の記述は過去記事より引用) ◆怒涛の6連勝でこのまま全勝かと思われたが…… 宿敵・韓国を3‐0のストレートで下し、この大会5連勝という破竹の勢いでアテネ五輪出場を決めたバレーボール日本女子。新エース・栗原恵(当時19)からは五輪でのメダル宣言も飛び出して、このまま7戦全勝かとも思われた。だが、最終戦で思わぬ〝洗礼〟を受ける。 《最終日のロシア戦は、強いサーブと高いブロックに自分たちのバレーをさせてもらえず、3‐0で惨敗。これまでスパイク、バックアタックが面白いほどに決まっていた栗原は高さのある3枚のブロックに封じられた。 代わって入った大山加奈(当時19)も187㎝の長身から打つ強いスパイクで、試合の流れは変えたものの勝利までは呼び込めなかった。チームに勢いをつける〝メグ・カナ〟コンビが封じられたときの弱さを露呈した日本。彼女たちの経験の浅さが五輪ではメダルへのアキレス腱になるかもしれない》 1988年ソウルから3大会連続で日本のエースアタッカーとして五輪に出場した大林素子氏も世界の厳しさについて次のように語っていた。 《イタリア、ロシアは今大会で全力を出していませんでした。ロシアが本気だったのは日本戦だけです。今の日本は強豪国と戦ってないので強い感覚がありますけど、あのロシアを世界レベルと考えなければいけないと思います》 五輪本番には予選では当たらなかった中国、アメリカ、ブラジルなどの強豪がひしめいている。その中でメダル獲得をすることはかなり厳しそうだが、前年11月のW杯ではまだアイドル的存在だった〝メグ・カナ〟の二人はこの大会では主力として急成長の活躍を見せていた。そんな二人への課題は……。 《栗原はパワーが少ない分、レフトとライトの両方ができるので、ブロックをかわして、どこにでも打てる柔軟な技を身につけてほしい。パワータイプの大山には、力で捻じ伏せる最強の4番打者のような選手を目指してほしいですね。徹底したこだわりを持って、自分しかできないという面を伸ばしてほしい(大林氏)》 著しい進化を見せていた〝メグ・カナ〟コンビ。日本がメダルへ届くかはこれから3ヵ月間の彼女たちの成長にかかっていた──。 栗原は’19年の『Sportsnavi』のインタビューで、アテネ予選当時を振り返り、次のように語っていた。 「試合を重ねるごとに『楽しい』と思えたし、チームが強くなることを実感できる。五輪の出場を決めたということ以上に、それがうれしかったですね」 確かにこの当時の日本女子は神がかり的に強かったことがうかがえる。だが、やはり世界の壁は厚かった。アテネ五輪では、日本は予選リーグを2勝3敗で突破したものの、準々決勝で中国に3‐0で敗退、5位入賞にとどまった。 しかし、1984年のロス五輪の銅メダル以降はメダルから遠ざかり、’00年のシドニー五輪では初めて出場を逃すなど、低迷していた日本女子バレーにとって’03年に就任した柳本晶一監督率いる柳本ジャパンは希望を与えてくれた。チームにはキャプテンの吉原知子や竹下佳江、高橋みゆきら歴戦のベテラン勢も顔をそろえていたが、栗原、大山の19歳コンビは〝新生日本〟の象徴的な存在であり、バレー人気復活の火付け役となったのだ。 日本女子が悲願だった五輪でのメダルを28年ぶりに手にしたのは’12年のロンドン五輪だった。だが、そのときの代表チームの中には栗原の姿も大山の姿もなかった。大山は腰痛に苦しめられ、’08年の北京は断念。リハビリを経て復帰し代表候補にもなったが、辞退してその後’10年に現役を引退した。 栗原は北京では日本のエースとして5位入賞に貢献する。だが、膝の故障に苦しみ、ロンドン五輪の代表メンバーからは外れてしまった。しかしVリーグでは活躍を続け、’16年1月には通算出場試合数が230試合となったことでVリーグ栄誉賞を受賞している。その後’19年6月に現役引退を発表した。 そんな二人の意志を継ぎ、6月14日に6大会連続での五輪への出場を決めた現在の日本女子代表。パリではそんな活躍を見せてくれるだろうか。
FRIDAYデジタル