イスラエルとの会談でスイカを出されたらどうする?
相手の文化を学ぶ重要性
以上2つの例を紹介したが、何が言いたいかといえば、やはり地域の文化や歴史を学ぶことの重要さだ。スイカ然り、銅像や置物然り、事前に相手国が込めたメッセージを読み取ることができていれば、何かしら対処ができていたかもしれない。スイカの件であれば、出されたものを食べないというのは簡単ではないと思うが、例えば日本の外務省としては、会談開始時もしくは終了時の写真を掲載する、もしくは、そもそも写真を掲載しないという対応もできたはずだ(その点、銅像には容易に対処できないが)。 強調しておきたいのは、こうした文化的な背景を学ぶ必要性は、外交の場だけでなく、ビジネスや日常会話の場にもある。筆者も恥ずかしながら、文化的な違いを疎かにしてしまったがゆえに恥をかいたことが何度もある。例えば、以前イスラム教の国に出張に行った際に、面談相手の女性社員に握手を求めてしまい、「男性と握手をするのはちょっと……」と申し訳なさそうに言わせてしまったこともあった。 ベトナムから日本を訪れた友人に何か贈ろうと考えていた時に、その友人の趣味が料理と聞いて、日本の包丁をお土産に渡そうとしたところ、本人から「ベトナムでは刃物を相手に贈るのは、縁を切るとかそういう悪い意味があるから、自分と友達でい続けたいのならやめてほしい」と冗談めかして言われたこともあった。他にも、ロシアでは偶数の花束や赤いカーネーションを持って行ってはいけないという風習もある(日本の白菊のように、お葬式や死を連想してしまう)。 他にも数多くの「地雷」を踏みまくって、ようやく、他国の人とコミュニケーションを取る際に「もしかしたら、自分が見落としていることがあるかもしれない。一応事前に調べておこう」という心持ちが生まれたのだから、筆者も決して偉そうに他人のミスをあげつらえる立場ではないのだ。たとえ意図的でなくても、自分たちが当たり前だと思っているものが、他の国では違う意味で捉えられてしまうことがある。今後外国に出る時も、また、外国の人を日本にお迎えする時にも、慎重に考慮すべきだと、改めて自戒を込めて反省する機会となった。
G7/G20 Youth Japan共同代表/東京大学先端研創発戦略研究オープンラボ(ROLES)連携研究員 徳永勇樹