パート勤務で「年収120万円」ですが、10月から「社会保険料」が天引きされるようになりました。友人は私と年収が同じくらいなのに“対象外”だそうです。なぜでしょうか?
政府が社会保険適用拡大を進める理由
政府はこれまで段階的に、パート勤務などの短時間労働者の社会保険適用拡大を進めてきました。 一方で、社会保険加入の要件に当てはまらないように、労働時間や賃金を調整する短時間労働者が多いのが実情でもあります。それでも、政府が社会保険適用拡大を進める理由は次の3つです。 ・企業に雇用される「被用者」として、より充実した社会保障を受ける権利を得られるようにしたいため ・働き方や雇用の選択肢をより広げるため ・定額の基礎年金に加えて、報酬比例給付の保障を受けられるようにするため 短時間労働者が社会保障に加入することにより、「年収の壁」の意識を少なくし、そのときの状況に応じて柔軟に働き方を選べるようになります。また、社会保険に加入することで、もちろん将来受け取る老齢年金額が増えます。それだけでなく、次のような万一の事態にも備えられます。 ・何らかの原因で障害状態となったり軽度な障害が残ったりした場合、障害厚生年金や障害手当金が受け取れる ・厚生年金保険の被保険者が亡くなった場合、遺族が遺族厚生年金を受け取れる 自身のセカンドライフに向けてだけではなく、不測の事態にも備えられるよう、政府は社会保険適用拡大を進めているのです。
まとめ
2024年10月からの社会保険適用拡大により、より多くの短時間労働者が社会保険の対象となります。社会保険適用には4つの条件を全て満たす必要があるため、友人の年収が自身と同じ120万円程度であって106万円を超えている状態であっても、適用除外となる可能性があります。 社会保険料を納めると収入の手取りは減りますが、その分社会保障を受けられるため、どちらが良いとは言い切れません。そのときの自身や家庭の状況によって、柔軟に働き方を選べると良いですね。 出典 厚生労働省 社会保険適用拡大ガイドブック 内閣府 政府広報オンライン 執筆者:古澤綾 FP2級
ファイナンシャルフィールド編集部