親が絶対に「タンス預金」をやめません。ほぼ全財産の「500万円」ほど家に置いているようですが、火事になったときが心配です。「火災保険があるから大丈夫」と言うのですが、本当ですか?
なんとなく銀行が信用できない、相続税対策になるかもしれない……などの理由で、銀行預金ではなく、かたくなにタンス預金にこだわる人は一定数います。もし、家族が多額のタンス預金をしていることを知ったら、火災などで大切な資産が失われないかと心配になる人は多いのではないでしょうか。 「万一火災で燃えても火災保険があるから大丈夫」と言う人もいますが、本当にそうでしょうか? 本記事では、タンス預金が火災保険で補償されるかどうかについて、またタンス預金のデメリットや、どうしても現金を手元に置いておきたい場合の対策について紹介します。 ▼タンス預金していた現金を銀行に預ける場合、「税金」の支払いは発生するの?
火災保険でタンス預金は守れるの?
結論からいうと、火災保険ではタンス預金は守れません。火災保険は、建物や家具、家電などの家財に対して補償を提供するものです。 一方、現金に対する補償は非常に限定的です。火災保険では、火災によって焼失した現金については補償されないのが一般的です。500万円という大金、しかもほぼ全財産にあたるお金をタンス預金で家に置いておくことは大きなリスクといえます。 また、自宅で火災が起きなかったとしても、隣家の火災でタンス預金の現金が焼失してしまった場合でも、隣人には火事で失った500万円について賠償責任がありません。「失火責任法」では、重大な過失を除き、火災による賠償を求められないとしています。
タンス預金のそのほかのデメリット
タンス預金には火災以外にも多くのデメリットがあります。 まず、盗難のリスクが挙げられます。家の中の現金が盗難に遭った場合、保険会社によっては、火災保険や家財保険で20万円程度まで補償されるケースがありますが、500万円もの大金は補償されません。 また、タンス預金をしていることが周囲に知られてしまうと、詐欺などの犯罪に巻き込まれるリスクが高まることにも注意が必要です。 次に、タンス預金には利息がつかない点もデメリットといえます。確かに昨今の普通預金や定期預金の利息はわずかですが、タンス預金の場合は「利息ゼロ」ですので、銀行預金のケースよりも機会損失になっていることは間違いないでしょう。 さらに、タンス預金には相続に関するリスクもあります。例えば、家族に現金の存在を知らせずに亡くなってしまった場合、タンス預金が見つからないままになり、適切な相続が行われないかもしれません。 なお、タンス預金であれば相続税を払わなくてもバレないというのは誤解です。タンス預金が税務署に指摘された事例は多く、タンス預金をする理由が「相続税対策」なのであれば、その効果はないと考えたほうが妥当です。銀行に預けて、火災や盗難のリスクを減らしたほうがよいでしょう。