コーチなど展開のタペストリーのカプリ買収、米地裁が差し止め
（ブルームバーグ）： 米連邦地裁は24日、高級ファッションブランドのコーチやケイト・スペードを展開する米タペストリーによる同業カプリ・ホールディングスの85億ドル（約１兆2900億円）での買収計画を差し止める判決を下した。
ジェニファー・ロション判事は今回の買収計画が反競争的だと結論付けて取引を凍結した。これにより、米連邦取引委員会（ＦＴＣ）にはこの合併に関する独自の内部審判を行う時間が与えられる。このプロセスには数カ月を要する可能性があり、計画が破談となる可能性もある。
マイケル・コースの親会社であるカプリの株価はニューヨーク州南部地区（マンハッタン）の地裁判決を受け、時間外取引で一時56％急落した。
判事は「合併当事者は互いに競合する企業であり、合併により直接的な競争が失われることになる」と指摘。買収が実現すれば、手の届く高級品市場の59％のシェアを占める企業が誕生することになると付け加えた。
今回の判決はＦＴＣとカーンＦＴＣ委員長にとって大きな勝利だ。同委員長は、テクノロジーから食料品に至るまで、さまざまな分野で反競争的とみなされる買収の阻止に取り組んでいるが、成果はまちまちとなっている。今回の訴訟は、判事が合併を認めるかどうかに賭けているヘッジファンドなどの投資家から、注目を集めていた。
消費者に「勝利」とＦＴＣ
ＦＴＣのリュー競争局長は声明で地裁判決について、「ＦＴＣだけでなく、良質なハンドバッグを適正な価格で購入したいと願う全米の消費者にとっても勝利だ。タペストリーとカプリが今後も直接的な競争を続け、米国民に利益をもたらすことが確実になる」と述べた。
タペストリーは、カプリ買収計画を阻止する今回の判決は「遺憾であり、法律上および事実認識上、誤りだと確信している」との見解を示した。
カプリは別の声明で、今回の判決を不服として控訴の通知をタペストリーと共に連邦高裁に提出する意向を明らかにした。
