【サウジアラビアRC回顧】近年の「出世ライン」に乗ったアルテヴェローチェ 締まった流れで持続力発揮、血統的にも今後の成長に期待大
レース史上最速の前半800m45.7
GⅢ昇格後の8回で朝日杯FSの勝ち馬3頭と、グランアレグリアが通過した出世レース。今年の覇者は、7月の札幌新馬を勝ってここに臨んだアルテヴェローチェだった。 【毎日王冠2024 推奨馬】能力は断然No.1!複数の好データ持ちで圧勝だ SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 早期デビューからここで重賞制覇は完全に出世ライン。無事に進められれば、朝日杯FSをはじめ来春も主役だろう。 開幕初日の東京は雨。良馬場発表の1R、芝マイルの2歳未勝利は1.34.2(前後半800m46.4-47.8)で決着し、後方からビッキーファーストが追い込みを決めた。前半が速かったため、全体時計は東京なら標準的な記録といえよう。 昨年は開幕2日目に同条件が組まれ、同じ1.34.2で決着した。前後半800mは46.6-47.6。勝ったスパークリシャールは翌年3月に中山で2勝目をあげるも、以後、勝ち星から見放されている。 東京といえば、スローの瞬発力勝負が定番だ。前半はひたすら脚を温存しないと、最後の直線で伸びきれない。 だが、近年は無理やり抑えて馬とケンカするより、馬のリズムを大事に騎乗するきらいがある。極端なスローは競馬を経験し、理解している古馬のレースではみられるが、2歳戦では多くない。競馬を覚える過程で、抑え込んで教えるよりもリズムをとらせながら、指示を受け入れるよう諭しているようにみえる。馬も人も教育の形はかつてとは違う。 このサウジアラビアRCも、チャンピオンコースの東京芝1600mへの意識から前半は動きが少ないレースだが、今年は違った。 前半600m34.0はダノンプレミアムが今年と同じ1.33.0で当時の2歳レコードを記録した2017年よりも0.3秒速く、重賞昇格後でもっとも速い。マイネルチケットがハナに立つも、シンフォーエバーがそれを奪い、後ろを離し気味に進むなど、3コーナー手前まで攻防があった。 前半800m45.7もダノンプレミアムの年に記録した46.1より速く、こちらも最速だ。開幕週の馬場に雨が加わるというやや評価しにくい状況ながら、45.7は古馬重賞レベルに近い。当然、先行型はいくら馬場がよくても、最後まで伸びない。 2番手から1.33.0を記録したダノンプレミアムほど内容の濃さは感じないものの、後方から進めたとはいえ、アルテヴェローチェとタイセイカレントはこの時計を乗り切ったので、ひとまず合格としよう。