/25 第74回大会(2002年) エース右腕、全5試合完投
2002(平成14)年の第74回大会は、阪神甲子園球場からわずか5キロしか離れていない地元の報徳学園(兵庫)が28年ぶり2回目の春の王者となった。前回の優勝は1974(昭和49)年の第46回大会。部員11人ながら初出場で決勝に進出し、「さわやかイレブン」と呼ばれた池田(徳島)を降しての優勝だった。 原動力となったのは、後にプロ入りした大谷智久投手(ロッテ)。全5試合を一人で投げ抜き、防御率1・40の好成績を残した。最速147キロの速球派右腕は、永田裕治監督の助言もあり、緩急を付ける投球を身につけて連投の疲労を緩和させた。 1回戦の相手は前年夏の甲子園を制した日大三(東京)。立ち上がりに2点を先取されたが、冷静だった。主将の荒畑圭捕手とのバッテリー間で、球が走っていることを確認し合い、打者に直球をより速く見せるためにスライダーを効果的に配合。二回以降は立ち直り、3-2で難敵を退けた。 次戦からは4日連投のマウンドとなった。2回戦の広陵(広島)戦も先制を許すも、丁寧に打たせて取る投球に徹し、相手に13残塁を記録させて競り勝った。準々決勝の浦和学院(埼玉)には13安打を許しながら、要所を締め、逆転勝ち。六回まで1-1の投手戦となった準決勝の福井商戦も辛抱強く投げ続け、決勝に進出した。 最後に立ちはだかった鳴門工(徳島)戦では、連日の力投に応えて味方が三回までに7得点。全員安打の援護を受け、2失点完投で有終の美を飾った。=つづく ……………………………………………………………………………………………………… ▽決勝 鳴門工 000001010=2 報徳学園 11500001×=8