「きかんしゃトーマス」2017年も大井川沿線を走れ!
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子供向けテレビ番組「きかんしゃトーマス 」の意匠をまとった大井川鐵道の蒸気機関車「トーマス号」と「ジェームス号」が今月25日、子供たちの歓声とともに2016年の運行を終えた。2017年も引き続き運行することが決定しており、観光客で溢れた終着駅の新金谷駅は終始和やかな雰囲気に包まれていた。
白煙をあげて家、家を縫うように新金谷駅に滑り込んだトーマス号は、クリスマスをトーマス号に乗って楽しもうと県内外から訪れた親子連れをホームに送り出して今年の運行を終えた。ホームから整備場に向かう線路沿いには、名残り惜しそうに手を振る子供たちの姿が。子供を抱いた大人からは「トーマスありがとう」の声も飛ぶ。 トーマス号、ジェームス号は今や大井川鐵道の主要な収益の柱だ。大井川鐵道は、金谷(静岡県島田市)~千頭(同川根本町)の39.5キロ、千頭~井川(静岡市)の25.5キロを結ぶ。従来より蒸気機関車を運行し、鉄道ファンにとどまらすSL動態保存の鉄道として広く知られている。しかし、その経営は決して盤石とは言えない。 2015年5月に地域経済活性化支援機構による再生支援が決定し、エクリプス日高株式会社(北海道新ひだか町)を新たなスポンサーに経営再建の途上にある。
トーマス号の運行は、2014年から期間限定で始まった。2015年からはジェームス号も加わり、クリスマスも特別運行して人気が拡大。今年は6月11日より10月10日まで延べ76日間、計172本を新金谷駅~千頭駅間で運行。12月にはクリスマスのデザインを施して特別運行し、大井川鐵道はトーマスが走る鉄道のイメージがすっかり定着した。 トーマス号、ジェームス号の運行はライセンスを保有するソニー・クリエイティブプロダクツとの契約にもとづくもので、その契約は2014年より3年間だった。そのため、大井川鐵道を走るトーマスは来年以降、見られなくなってしまうのではないかという危惧がファンや関係者には少なからずあった。そんな中、大井川鐵道は先月、2017年もトーマス号を6月から、ジェームス号を7月から運行することを発表、ちびっ子ファンや関係者は大いに安堵したに違いない。 新金谷駅で2016年の運行を終え、線路沿いで手を振る子供たちの前を整備場に向けてゆっくりと進んでいくトーマス号。時折、軽やかに鳴らす汽笛は「来年も遊びにきてね」と語りかけているようだった。 (文・三好達也)