8歳下の妻がいます。年の差夫婦なら“年金の家族手当”をもらえると思っていたのに、受け取れないケースがあるって本当ですか?
Aさんには、8歳下の妻がいます。“年金の家族手当”つまり「加給年金」を受け取れると思っていたAさんでしたが、「制度が変わって加給年金がもらえない可能性がある」と聞いたそう。加給年金の支給条件はどう変わったのか、FPが解説します。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
年下の配偶者なら必ずもらえるの?
少子高齢化の日本では、働き方改革により新たな働き手として女性や高齢者が注目されています。特に出産や子育てのため仕事から離れていた女性が、将来受け取る公的年金額を増やすなら、社会保険に加入する働き方が一番といっても過言ではありません。 一方で共働き夫婦は、夫婦で社会保険に加入し年金額を増やすことができますが、共働き夫婦には家族手当である加給年金がつかないと聞いたので、働くだけ損をするのでしょうか? 製造業で働くAさんには、8歳年下の配偶者(今回は妻)がいます。休憩時間に職場の先輩と話をしていたところ、話題は年金に。先輩夫婦は、妻が年上で共働きとのことです。そのため、先輩夫婦は家族手当がつかないといわれたそうです。Aさんは、「妻が年下だから得したね」といわれました。
加給年金の要件は“年下”だけではない
妻が年下なら受け取れる、ちょっと得した気分になったAさん。しかしながら、年金に無知なAさんは帰宅後、ネットで調べてみました。家族手当といわれているのは「加給年金」といわれ、原則、65歳到達時点で、生計を維持され要件を満たした配偶者と子がいると受け取れるとのこと。 子は原則、18歳になった年度の3月31日までとなっています。Aさんに子どもは2人いますが、すでに20歳を超えているため、該当しません。妻は8歳年下で、現在、パート仕事をしています。 妻が年下なら必ず受け取れるわけではないらしい……。では、Aさんが加給年金を受け取れる要件をあげてみましょう。 ●本人の厚生年金保険と共済組合等の被保険者期間を合わせて20年以上 ●本人が在職老齢年金もしくは繰下げ制度により老齢厚生年金の報酬比例部分が全額支給停止していない 妻(配偶者)側にも要件があります。生計を維持している妻(配偶者)に老齢や退職(被保険者期間が20年以上)、障害を支給事由とする給付を受け取る権利がある場合、加給年金は支給されません。特に妻の老齢や退職の年金については、全額支給停止であっても支給状態にかかわらず加給年金は支給されません。 パソコンの前でため息をつくAさん。Aさんの夫婦も共働きです。妻はパートでも、社会保険に加入しているのです。配偶者(妻)が年下であっても受け取れないのかな……。 さらにAさんは、元気なうちは働けるだけ働こうと考えています。年金の受け取る時期を遅らせて増やす、「繰下げ」しようかとも考えていました。