「ベルギーでは15歳で月40万円もらえる」“高校サッカーの天才たち”が次々に海外流出している問題…Jリーグは危機感を持つべき?「マンUも日本人スカウトを雇用」
「マンUにも日本人スカウトがいる」
高野は言う。 「たとえば、マンチェスター・ユナイテッドは日本人スカウトを雇っているんですが、これまでは主に日本代表クラスしか見ていませんでした。それが今ではアンダー年代にも目を向けるようになっています。明らかに流れが変わりました」 ただし、高野は日本サッカーの評価の高まりを喜びつつも、同時に「浮かれてはいけない部分がある」と警鐘を鳴らす。Jリーグが空洞化しかねないからだ。 「今の日本は海外からのタレント引き抜きに対してあまりにも無防備です。自国のプロリーグは、その国のサッカーの象徴。このままだとJリーグの空洞化が進み、地盤が緩んでしまうという危機感を僕は抱いています。ガラパゴス化せず、視野を広く持たないといけません」
「15歳で月40万円もらえる」
では、どうすればJリーグの空洞化を防げるのか。 結論から言えば、ベルギーの事例が参考になる。ベルギーサッカー界はタレントの国外流出を防ぐために国の法律まで変えているのだ。 それを説明するために、まずは日欧の育成年代の違いを確認しておこう。 日本の高校生は3年間同じチームでプレーするのが一般的だ。近年は高校在学中にJリーグのユースから高校サッカー部に籍を移す選手が少しずつ増えてきたが、まだまだ少数派である。 一方、ヨーロッパのユース年代ではクラブと選手の契約は主に「1年+オプション」で、パフォーマンスが悪い選手はすぐに放出されてしまう。常にふるいにかけられているイメージだ。 競争にさらされているのはクラブも同じだ。選手が高いパフォーマンスを見せるとすぐに他から声がかかるため、あの手この手でタレントを引き留めなければならない。 その結果、日本では考えられないような「特別待遇」合戦が勃発している。 高野は解説する。 「ベルギーでは10歳くらいからクラブの勧誘がスタートし、優れたタレントには『特待金』という形で月に2、3万円を支給します。15歳になったら『特待金』は月に40万円くらいまで上がる。家庭によってはこれが家族の主な収入というケースもあります。 この他にも交通費、アパート代、学費の支給という感じで、さまざまなオプションがある。2、3万円の差で選手が引き抜かれてしまうので、アカデミーの責任者は限られた予算の中でうまく分配しなければなりません。 自分の下部組織のタレントを守りつつ、他クラブからタレントを引き抜こうとする。まさに仁義なき戦いですよ(笑)」
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