星野リゾート「大学1年に内定」物議に本来の意図明かす 滑り止め目的には「内定出さない見極め」も
星野リゾートが10月に開始した「大学1年生からでも参加可能」とする通年採用制度。発表後には「青田買いだ」「4年生になってから心変わりされてしまうのでは」といった声も聞かれた。 【画像】「『青田買い』は本意ではない」星野リゾートの新卒採用フロー、学生向けプログラムの実施風景など(計3枚) 採用難や就活の早期化を受けての「囲い込み」との見方もあるが、採用担当者は「1~2年生の段階でマッチングを確かめられる学生は、正直そう多くはないと考えている」と本音を漏らす。いったいどのような狙いで制度を開始したのか。
選考スケジュールを学生が決定
一般的な企業と同様に「(大学3年生を対象に)3~4月にエントリーを受け付け、6月前後に内定を出す」という流れで、年間700~800人の学生を採用しているという星野リゾート。同社は2025年春以降入社を対象とした採用活動から、選考フローを大きく変更する。その目玉は、具体的な選考スケジュールを「学生主体」で決められるようにするというものだという。 例えば1次面接を通過した場合、次の面接の日程を近い日取りに限定せず、学生の希望によって「1年後」「2年後」と設定することも可能となっている。 採用担当者は「就活でのマッチングに必要な自己理解や企業理解が、何をきっかけに、どのように深まるかは人それぞれ」と前置きした上で、「1次面接まで受けたときに『まだ星野リゾートのことを理解できていない』という気付きがあれば、長期休みでインターンシップに参加していただくことも1つの選択肢ですし、逆にご自身についてもう少し深く考えるのも良いと考えています」とその狙いを話す。
「『青田買い』ではない」
10月から新たに開始した通年採用では、応募資格を「大学1~2年生」にも広げた。こちらについても、学生が自分のタイミングで、選考に参加できるようにすることが目的だという。 とはいえ、制度導入の大きなきっかけとなったのは「就活の早期化」だ。「特に2024年卒~2025年卒の採用にかけて、顕著に変化があったと感じています」(採用担当者) 政府が現在、経済団体などに要請している採用活動の日程は「広報活動開始が卒業・修了年度に入る前の3月1日以降、選考活動開始が6月1日以降、正式な内定日が10月1日以降」というもの。しかしこのルールは有名無実化しており、実際には多くの企業が、大学3年生の時点で内定を出す早期選考を実施している。 こうした状況に対し、採用担当者は「丁寧にマッチングをすり合わせるというよりも、『内定を得る』ことがゴールになっている就職活動には、非常に危惧を抱いています」と話す。 「ひとくくりに『学生』と言っても、さまざまなバックグラウンドを持った学生がいます。それならば、選考の形もさまざまな選択肢があってよいのではないかと考え、このようなスタイルを導入することにしました。これまでも、既卒まで対象に含めた通年での採用活動を実施していましたが、大学1~2年生も対象とすることで『本当の通年採用にしよう』と決めた形です。『青田買い』と仰る方もいますが、そういった捉えられ方は本意ではありません」(採用担当者)