<センバツ・平成の名場面>大会歌「今ありて」誕生 阿久&谷村コンビ手がけ 第65回 センバツ平成の名場面
センバツでは開会式で入場行進後に大会歌が歌われる。現在、歌われている「今ありて」が初めて開会式で流れたのは、1993(平成5)年の第65回大会だった。 【王、原、清原…】センバツを彩った強打者たち 大会歌が登場したのは31(昭和6)年の第8回大会。初代大会歌「蒼空(あおぞら)高き甲子園」には歌詞に「オール日本」など英語が交じっていたことから軍部の指摘を受け、1大会限りで姿を消した。34(昭和9)年の第11回大会から2代目の「陽(ひ)は舞いおどる甲子園」に替わり、戦争を挟み50年以上歌い継がれた。 3代目「今ありて」は高校野球をこよなく愛した阿久悠さん(故人)が作詞、シンガー・ソングライターの谷村新司さんが作曲を手掛けた。 第65回大会の開会式でお披露目された「今ありて」は同大会の入場行進曲にも採用された。開会式をバックネット裏から見守った谷村さんは式後に「曲が作り手を離れ、独り歩きしていた。たくさんの人の歌になっていくうれしさと切なさを感じた」とコメント。谷村さんの希望もあり、「ああ甲子園」というフレーズを残した阿久さんは「自分で作った歌だけど、こんな大きな舞台で選手らを前に聴くと、何か背中がゾクゾクッとするね」と笑顔でうなずいたという。 「今ありて」は2008(平成20)年の第80回記念大会開会式前に阪神甲子園球場で開かれた記念イベントで、大会歌を55(昭和30)年から歌い継ぐ神戸山手女子高(兵庫)の生徒と卒業生約700人が谷村さんとともに合唱した。