「斎藤知事は反社会的勢力にはめられた」説が陰謀論扱いされる理由
反社会的勢力が知事の敵対勢力だ
四面楚歌としか言いようのない状況に追い込まれている斎藤元彦兵庫県知事に対して、同情的な声も存在しないわけではない。 【写真を見る】迫力満点の「山口組組長」が芸能人の離婚会見にも“同席” 主にX上で展開されているのは、「斎藤知事ははめられた」という見立てに基づく擁護論だ。 一体誰が何のために「はめた」のかといえば、「反社会的勢力が利権を守るため」ということのようだ。
兵庫県内にある神戸港は反社会的勢力の利権の巣窟であり、改革派の知事はそこに手を突っ込もうとしたゆえに「はめられた」という見立てである。 デイリー新潮では、知事が運転手にも自宅を教えず、それどころか県の災害対策名簿にも住所が記載されていないことを以前の記事〈齋藤知事の退職金は「1500万円以上」 運転手にも「自宅を教えない」特異な性格で「災害対策本部名簿も空白に」〉で伝えた。が、擁護する側の中には、これも反社会的勢力を警戒してのことだ、と解説する向きもいる。 これらが本当ならば知事は気の毒な犠牲者ということになるのだが、今のところこの説を採っているマスメディアは存在していない。神戸港は兵庫県ではなく、神戸市の管轄だという指摘もある。また、そもそも知事本人もそうしたことを一切口にしていない。 むろんそれも反社会的勢力の攻撃を恐れて口にできないのだ、という仮説も成り立たないわけではないが、そこまでの力を持つ「闇の勢力」が日本に存在するかははなはだ怪しく、「はめられた」説は、一種の陰謀論と解釈するのが自然だろう。 もっとも、陰謀論の常として、まったく何も「タネ」がないわけではない。この説で言えば、ある時期、今で言うところの「反社会的勢力」、具体的には山口組が神戸の港湾と密接な関係にあったのは事実である。このあたりの事情が、独自の見立てのバックにあるのだろうか。 では両者の関係性とはどのようなものか。そして今はどうなっているのか。 長年、暴力団の取材を続けてきたフリーランスライターの山川光彦氏の著書『令和の山口組』をもとに見てみよう(以下は同書をもとに再構成したものです) ***