「日本でこんなに人気になるとは…」韓国ドラマはなぜ世界的ヒット連発? 始まりは20年前「冬のソナタ」の熱狂 自信を持った制作陣、ネトフリも追い風に
またアジアを越え、国際的に広がりを見せる韓流について「日本における人気が始発点になったのは確かなのではないか」と指摘。冬ソナを機に「韓流は一過性の人気現象でなく、一つの文化のように、映画や音楽、食べ物など多様な分野に広がった」。 ▽資源の少ない国で人材生かす 韓国ドラマの成功を語る上では手厚い支援も欠かせない。政府系機関の韓国コンテンツ振興院はドラマやゲームなどの産業に年間約5千億ウォン(約500億円)をかけ、審査で選ばれたドラマに企画段階から資金を提供。プロデューサーや脚本家など若手を育成する教育プログラムにも力を入れている。 2017年には韓国中部・大田(テジョン)市に、広さ6万平方㍍を超える国内最大級の「スタジオキューブ」を建設した。六つの室内スタジオなどを備え、世界的な大ヒット作「イカゲーム」も撮影された。管理に当たる韓国コンテンツ振興院の李知奐(イ・ジファン)チーム長は「動画配信サービスの普及で大型作品の撮影を可能にするスタジオが必要になったが、民間では手が出せない」。
韓国は、フランスに次ぎ世界7位の規模とされるコンテンツ産業の拡大を目指している。韓国コンテンツ振興院の李咏勲(イ・ヨンフン)日本ビジネスセンター長は強調する。 「資源の少ない韓国で、人材を生かせるのがクリエーティブ産業だ。短期間で発展するには国の支援は必須で、大手企業が独占しないためにも、多様な制作会社が互いに鍛えるできる環境を整えなければならない」 ▽20年で「出演料100倍」の俳優も 世界的コンテンツを生み出す韓国ドラマだが、作り手の頭を悩ませているのが制作費の高騰だ。韓国ドラマ制作社協会によると、5年前から1話当たりの制作費は平均で3倍に膨張した。動画配信大手はさらに桁違いの巨額を投じており、撮影中の「イカゲーム2」の制作費は総額800億ウォン(約80億円)とも1千億ウォン(約100億円)ともささやかれる。 中でも制作費を圧迫しているのは俳優の出演料だ。関係者によると、トップ俳優が1話あたり200万ウォン(約20万円)未満だった冬ソナ時代の相場から「100倍に上がっている人もいる」という。