【特集】「最期まで自分らしく生きたい…」新たな“看取り”の形でニーズ急拡大中の『ホスピス型住宅』 本人や家族が望む「最期の選択肢」に密着
「その人の人生を看取れることに感謝を忘れない」“死”と向き合う仕事の過酷さ… 『ホスピス型住宅』急拡大も、課題は「人材確保」
40年前、末期の患者に緩和ケアを行う『ホスピス』が、西日本で初めて病院内に作られました。しかし、『ホスピス』を病院に設置するには厳しい基準があり、採算が取りづらいなどの理由から、今なお数が足りているとは言えません。 厚生労働省・中央社会保険医療協議会によると、2040年には「看取り場所の不足」で約49万人が病院や在宅での治療を受けられず、施設にも入ることができずに亡くなる可能性が指摘されています。
一方、国は医療費削減のため、病院ではなく自宅での看取りを推進します。しかし、最期まで医療的ケアが必要な末期がん等の患者を、自宅で看取るには限界があります。そのため、病院と自宅、双方のメリットを取り入れた『ホスピス型住宅』の需要が今、高まっています。施設の数は、この3年で約2.5倍と急拡大。2026年には更に増える見込みです。
しかし、施設を増やすために課題となるのが…。 (『シーユーシー・ホスピス』薮康人運営部長) 「やはり一番大きいのは、『人材の確保』だと思います。『人材』と言っても、“訪問看護”に慣れたスタッフを、より多く揃えていきたい」
看護師一人につき、受け持つ患者は5~8人。全員が病院勤務を経験してきています。 (ReHOPE堺北・山本万梨菜看護師) 「今まで総合病院で、いろんな最期の迎え方を見てきたんですけど、『本当に、こういう最期の迎え方を望んでいたのかな』と何回も思い直すことがありました」
働き手を増やすため、施設側も様々な取り組みを実施しています。看護学生たちを招いた実地研修は、未来の看護師に『ホスピス型住宅』という施設を知ってもらう狙いがあります。 (ReHOPE堺北・村田妙子看護管理者) 「家だと、看護師を呼んで駆けつけるまでタイムラグがありますが、ここだと、待ってもらっても数分だと思います。そういう意味で、入居者さんも安心できる」
実地研修を終えた看護学生は…。 (森ノ宮医療大学・看護学科3年 山内大翔さん) 「まず病院でいろんな経験を学ばせていただいて、しっかり力をつけた上でここに来ないと、すぐに働ける環境ではないんじゃないかと思いました。ただ、将来的には“有り”な環境だと思いました」
【関連記事】
- ▼【独自解説】「国宝級の大発見」富雄丸山古墳 埋葬されていたのは一体誰?手つかずの棺から更なる発見! 「将来の夢は考古学者」発掘現場の学生の一人に密着
- ▼【動画】春の「害虫」被害拡大中!世界で大量発生「トコジラミ」感染症を招く「マダニ」 春のお出かけ前にチェックしておきたい「害虫対策」 危険な虫を駆除するには? 被害を予防する方法は?
- ▼【特集】約50人に1人が死産する現状「どうして私たちの子が…」ママの孤立に寄り添い、お空の我が子と“共に生きる”ために作った“天使の想い箱”制作の背景「一人じゃないよと伝えたい」
- ▼【特集】発生から22時間後救出、両脚を切断した大学生 “最後の生存者”の19年「生かされた命だからこそ」JR福知山線脱線事故
- ▼【独自取材】「私が一番バカでした」偽・森永卓郎氏と偽・堀江貴文氏に騙され2000万円以上を失った被害者が激白「自分は大丈夫と思っていた」 急増する“著名人なりすまし投資詐欺”…あなたがやり取りしているその有名人、本当に“公式”ですか?