大阪発「ゲンバ男子」が写真集に 「チアーズG」も発足
「ゲンバ男子」──。文字通り、町工場などの現場で働く男子のことだが、今、この「ゲンバ男子」が話題を呼んでいる。というのも、このほど写真集が「幻冬舎」から出版されることになったからだ。ゲンバ男子は、中小企業支援機関「大阪産業創造館」(大阪市中央区)のプロジェクトで、同館が運営する、町工場で働く若者の写真を集めた特設サイト「ゲンバ男子」から生まれたもの。写真集発売が決まったことを受け、マスコミ向けにゲンバ男子写真集制作発表会が同館で行われ、会見には月刊ビジネス情報誌Bplatz編集長、幻冬舎の編集者、中小製造業経営者をはじめ、町工場をオンナの力で盛り上げる「チアーズG」も発足するなど、主たるメンバーが出席した。関係者らは「製造業のイメージアップを図って、全国展開していきたい」と意気込みを話している。
「ゲンバ男子」は、プロカメラマンが撮影した町工場で働く若者の写真を一堂に集めた特設サイトで、2013年10月にスタート。深刻化する中小製造業の採用難を払拭すべく、製造業のイメージアップを図り、若年層の関心を高めることを目的に運営している。 そんな「ゲンバ男子」が今秋、幻冬舎から写真集として発売される。「佐川男子」など、これまでも話題になった写真集はあるが、製造業を取り上げた写真集は初めてだという。 それに伴い、大阪産業創造館の女性社員によるプロジェクトチーム「チアーズG」が新たに発足。製造業に勤務する事務職の女性社員をはじめ、OLや女子大生などとのコミュニティーを組成し、写真集のコンテンツ制作や販売プロモーションまで、協力を呼びかけていくという。
会見で月刊誌「Bplatz」山野千枝編集長は「(ゲンバ男子は)業界のイメージアップを目的としており、今年11月に写真集が発売されることになりました。若い世代の採用が難しくなっているという声を聞いています。それで、町工場で働くイケメンを探せ、ということでゲンバ男子と名付けて2013年に特設サイトをオープンしました。製造業採用にどれほどの効果があったのか、私どもは直接採用にかかわってはいないので、わかりません。ただ、カッコいい写真を求人広告につけたところ、応募が増えたとも聞いてます。モノづくりは人づくり、時間をかけて人材を育てるという文化がある。全国各地にゲンバ男子を広げてイメージアップを図りたい」と、これまでの取り組みを説明した。 幻冬舎編集本部第一編集局、編集者の有馬大樹さんは、「幻冬舎のほうから写真集の話を進めさせて頂いた。美しさ、カッコよさみたいなものが写真に出ている。大きなプロジェクトの中で、その1つとして、本というものがあればうれしい。買う人は女性をメインターゲットにしているが、女性に振りすぎることなく、製造業の現場や対談、座談会、読み物など肉声がたっぷりなものにしたい」と話した。 「私自身、昨年、この取り組みを知りました。取材に来て欲しいと思いました」と話すのは、会見に出席した製造業「明星金属工業」の上田幸司社長だ。「当初は弊社の現場の活性化になればいいという程度に思ってました。そうじゃなくて、日本全国の製造業の活性化のプロジェクトだと知りました。私どもはプレスの金型屋なんですけど、なかなか若い世代に伝わらない。3K職場と言われている部分もあって、そういうのを払拭したい。こういう切り口のPRは初めて。日本の製造業が若い人に魅力を感じて頂けるように、写真集とともに全国展開に期待したい」と、思いを語った。