ウクライナ軍の「吸血鬼ドローン」、夜中に疾走するロシア亀戦車に爆弾を命中させる
AI誘導ではなく人間の操縦士が熟達した腕前を見せた
夜な夜なやってくる吸血鬼ドローンによる当初の襲撃では、野営中のロシア軍部隊など静止した目標が狙われることが多かった。その後、操縦士の技量が向上(これはウクライナが無人システム軍の設立で促進しようとしたことでもある)してくると、動く目標も攻撃するようになった。 ウクライナ軍もロシア軍も、AI(人工知能)を搭載し、人間の形をした目標などへの最後の瞬間の誘導を自動でこなす自爆型FPV(一人称視点)ドローンを多用し始めている。吸血鬼ドローンはこうした使い捨てドローンではない。 重量1kgかそこらのFPVドローンが1機500ドル(約7万5000円)程度なのに対して、重量20kg近くある吸血鬼ドローンは1万ドル(約150万円)以上する。安価なFPVドローンは爆弾を抱えて目標に突っ込んでいくが、高価な吸血鬼ドローンは上空から目標に対して爆弾を落とす。この場合、ターゲティング(目標指定)AIの有用性は下がる。 吸血鬼ドローンが動く目標を狙う場合は、相変わらず操縦士の技量がすべてだということだ。操縦士は昔ながらの爆撃方法、つまり目標の速度と進行方向に合わせ、自機の高度に基づいて爆撃位置を算出して無誘導の爆弾を投下している。 ウクライナ軍の吸血鬼ドローンが夜間、動く目標に対して行っている爆撃では、実際は命中しない場合が多いと考えるべきだろう。無人システム軍は、失敗した攻撃の動画はあえて公開しようとしない。 それでも今回のように、なかには成功した夜間爆撃があるというのは称賛に値する。無人システム軍も「動いている目標に命中させるというのは特別な任務だ」と言及している。
David Axe