恐ろしい…軽快なBGMのもと繰り返される「家電量販店の最安値宣言」に込められた、本当の意味【経済評論家が解説】
それでもカルテルが破られる場合は「泥沼」に
離島に2つのガソリンスタンドがあるとします。カルテルを結んで(あるいは家電量販店のまねをして最安値宣言をして)大いに稼ごう、と考える経営者もいるでしょうが、安売り競争が際限なく続く可能性もあります。 ガソリンスタンドの費用には「固定費」と「変動費」があります。客が1人も来ないと、人件費等で赤字になりますが、その金額が固定費です。変動費は仕入れ値です。客が来ると、売値マイナス仕入れ値だけ儲かりますから、その儲けが固定費を上回ると黒字になる、というわけですね。 ライバルより1円安く売ることで客を奪えれば、売値マイナス仕入れ値だけ儲けが増えますから、1円値下げをするインセンティブを両社とも持っています。相手が値引きをすると客がすべて奪われてしまって固定費分だけ赤字になってしまうので、死活問題として値下げ合戦が続く可能性があります。理屈で考えれば、最後は仕入れ値プラス1円まで値下がりするかもしれないわけです。 もうひとつの可能性としては、力が強いほうが値下げ合戦を仕掛けて相手が倒産するのを待つ、という戦略をとるかもしれません。相手が倒産してしまえば、好きなだけ値上げできるようになりますから。 今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。 筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義