イエモン、GLAY、スピッツ......今こそ見に行くべき「90'sバンド」の魅力
■レジェンドたちが現役でいられる理由 とはいえ、90年代バンドのメンバーたちは、そのほとんどが50代。厳しい言い方をすれば、かつての熱気にあふれたライブを知っている人ほど、「今見たら衰えが気になってしまいそう......」なんて不安になることもあるだろう。 「大丈夫です。少なくとも、ここに挙げたバンドに関しては、ライブのレベルが落ちたと感じたことはまったくありません。 少し古い例ですが、僕は2008年のサマーソニックで、前年に再結成したセックス・ピストルズのライブを見ています。メンバー自身が、『再結成はカネのため』と言っていたように、レジェンドを実際に目撃できたうれしさはあったけど、演奏にキレはないし、単純に内容が全然良くなかったんです。 このように、音楽業界には昔から"再結成ビジネス"みたいなものがありました。でも、最近のレジェンドたちに関しては、こういったことはほとんどなくなっています。 むしろ、演奏も歌唱も、年齢を重ねたことで出せる熟練ぶりで、観客を魅了するバンドが増えています。だから、かつてのライブと比べてガッカリするかもといった心配はしなくていいですよ」 しかし、なぜ最近のレジェンドミュージシャンたちは、今も現役感を保ったまま活躍できているのだろうか? 「これにはいくつかの理由があると思います。ひとつは先達に対する憧れです。例えばザ・ローリング・ストーンズ。彼らも昨年、新アルバムを出して高い評価を受け、しかも世界ツアーまで行なっています。メンバーのほとんどが80代なのに、衰えるどころか新境地を開拓し続けている。 あるいはイエモン吉井さんの憧れだったデヴィッド・ボウイ。69歳で亡くなる直前まで、新しい路線のアルバムを出すなど刺激的な活動を続けました。そういった上の世代に対する尊敬の念があるのでしょうね」 ■時代の変化も追い風。長寿化するバンド そのような「年を重ねても挑戦し続け、下の世代の目標となり続けているバンド」の日本版といえるのが、サザンオールスターズだろう。 バンドとしても、桑田佳祐のソロ活動でも、今もヒット曲を生み出し続けているだけでなく、67歳という年齢を感じさせないパワフルなライブを行なっている姿は、多くのミュージシャンにとって憧れであり続けている。 「とはいえ、日本ではサザンオールスターズは例外的な存在です。今60代のミュージシャンたちが活動してきた環境は、必ずしも今のようにロックバンドが現役のまま長く活躍し続けられるようなものではありませんでした。それは音楽ライブの市場規模がまったく違うからです。これがふたつ目の理由です」