イエモン、GLAY、スピッツ......今こそ見に行くべき「90'sバンド」の魅力
■同世代の中でも稀有なスピッツ そして90年代バンドの中には、今もヒットチャートの上位に毎回ランクインし続ける異端の存在もいる。その代表がスピッツだ。 「昨年リリースした『美しい鰭(ひれ)』という曲が音楽ストリーミングで累計2億再生を突破するなど、90年代にブレイクしたバンドでありながら、現在も第一線で活躍し続けています。 スピッツはずっとヒットメーカーなので当たり前のように感じてしまいますが、このキャリアで年間を代表するような大ヒット曲を生み出すことができるのは、本当に驚異的なことなのです。 90年代バンドの多くは、今の若者にとって『名前は知っている』くらいの認識でもおかしくありません。だからこそ長年支えてくれたファンに向けた活動が多くなるのだと思います。 でも、スピッツは今どきの10代、20代もカラオケの定番として歌っている。この点を見ても、名だたる同世代のバンドと比較しても稀有(けう)な存在だといえます」 今も現役という意味では、昨年にアルバム『miss you』を発表して、音楽批評家、リスナーの双方から高い評価を受けたMr.Children(以下、ミスチル)も外すことはできない。 「ミスチルのロックバンドとしての芯の太さをあらためて見せてくれた、とても素晴らしい作品でした。 このアルバムを引っ提げた全国ツアーが昨年から今年にかけて行なわれており、そのすべての公演があっという間にソールドアウトしたことを踏まえると、彼らもまた、長年のファンだけでなく、いまだに若い世代にもアピールできる力を持ったバンドといえると思います」 ほかにも今年結成35周年を迎えるLUNA SEA、10年前の活動再開以来、大阪を拠点に着実にキャリアを積み重ねてきたウルフルズなど、注目すべき90年代バンドはまだまだいる。 ただ、その中でも結成35周年を迎えるthe pillowsは少し異色といえるバンドかもしれない。 「彼らは最も活発に活動していた90年代よりも、今のほうがファンの多いバンドです。 2000年代に入って『フリクリ』という伝説的なアニメの主題歌に起用されたり、BUMP OF CHICKENなど、the pillowsからの影響を公言する次世代のミュージシャンたちがブレイクしたりして、草の根的に知名度を高めてきました。 もちろん、本人たちが地道なライブ活動を続けてきたからこそ得られた結果でもあります。今も新たなファンが増え続けているバンドであり、これからの動きにも注目です」