スタジアムと試合を一変させたメッシ。選手のアスリート化が顕著も、多くのファンは芸術家を待ち望む【コラム】
前半のインテル・マイアミは見せ場を作れず
36歳になった今でもファン・サポーターを魅了し続け、試合の流れも変えたメッシ。彼のアイデアやクオリティは唯一無二だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)
久しぶりに静かなスタジアムに遭遇した。東京・国立競技場の正面記者席から見るバックスタンド側は閑散として、観客は比較的値段の安いゴール裏方面に偏っていた。 大半のファンのお目当ては、遠来のインテル・マイアミが擁すリオネル・メッシを中心とした元バルセロナのカルテットで、Jリーグではどこへ行っても間断なく響き渡るサポーターの歌声はない。時折ざわめきが歓声に変わるのは、故障で出場が危ぶまれるメッシがベンチで待機する姿が場内に大映しになる時ばかりだった。 それでもメッシは、平日の夜集まった3万人に迫るファンの期待に応えて残り30分間だけプレーをした。前半は神戸が圧倒的に攻勢に出て、特に大迫勇也が3度の決定機を迎えても上がり切らなかったボルテージは、メッシがユニホームに着替えた途端に最高潮に達した。 そして10番の登場とともに、試合はまったく別のストーリーを紡ぎ始めた。前半
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