大和証Gがあおぞら銀株を追加取得、旧村上系から279億円-比率24%に
(ブルームバーグ): 大和証券グループ本社は11日、旧村上ファンド系の投資会社などが保有するあおぞら銀行の全株式、約9%分を2段階に分けて市場外で取得すると発表した。取得金額は約279億円となる。
両社は5月、大和証Gがあおぞら銀の第三者割当増資519億円を引き受ける形での資本提携を公表。これに伴い、大和証Gの持ち株比率は15%超となる見通しだったが、今回の取得により議決権ベースで23.95%に高まる。追加取得により資本業務提携の実効性を高め、事業の相乗効果創出への取り組みを加速させる。
取得するのは、旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスと、村上世彰氏の長女である野村絢氏の保有分。合計した持ち株比率は3月末に9.01%あったが、大和証Gへの割当増資後は7.61%に低下する見込みだった。
あおぞら銀にとって、2月に大株主として浮上した物言う株主(アクティビスト)として知られる旧村上系がいなくなり、代わりに大和証Gが筆頭株主になることは経営の不透明感の払拭につながる可能性がある。同行の大見秀人社長は資本提携の発表会見で、大和証Gの荻野明彦社長とは以前から面識があったとし、「気心が知れた中で話が進んできた」と友好関係をにじませていた。
シティインデックスイレブンスなどによるあおぞら銀の株式保有が明らかになったのは2月下旬。あおぞら銀は同1日に、米不動産向け融資の追加引き当てなどにより、2024年3月期の純損益が15年ぶりの赤字に転落すると発表。その後、同行株価は大きく下落していた。
大和証Gによる追加出資の発表を受けてあおぞら銀は「大和証券グループとの資本業務提携をより強固なものとし、当行グループの企業価値向上に資するものと考え、当行も同意している」とのコメントを発表した。シティインデックスイレブンスの担当者はコメントを控えた。
大和証Gとあおぞら銀は既に経営協議会を設置し、複数の事業領域での銀証連携サービスに関する話し合いを進めているという。5月の発表時には、ウェルスマネジメント、不動産関連事業、企業の合併・買収(M&A)、成長企業支援の4領域で具体的な連携を協議するとしていた。