60年代セレブが競って買ったジャガー「Eタイプ」に試乗! ポップカルチャーのアイコンは「よくできたスポーツカー」でした【旧車ソムリエ】
1964年式 ジャガーEタイプ Sr.1 OTS
「クラシックカーって実際に運転してみると、どうなの……?」という疑問にお答えするべくスタートした、クラシック/ヤングタイマーのクルマを対象とするテストドライブ企画「旧車ソムリエ」。今回は、古今東西のスポーツカーのなかでも指折りの歴史的傑作として認知されるとともに、1960年代ポップカルチャーの象徴ともなっているジャガー「Eタイプ」をセレクト。そのモデル概要と、ドライブインプレッションをお届けします。 【画像】どの角度から見てもカッコいい! ホンモノの名車ジャガー「Eタイプ」を見る(23枚)
もともとはレースカーとして開発されたって、本当?
ジャガーEタイプは1961年3月、ジュネーヴ・ショーにてセンセーショナルな誕生を果たし、現在でもなお20世紀後半を代表するスポーツカーとして敬愛される名作。しかし元をただせば、1950年代のル・マン24時間レースで大活躍した「Cタイプ」および「Dタイプ」の後継車として開発された純粋なレーシングスポーツ「E1A」および「E2A」なる2種のプロトタイプから進化し、開発の途上から市販スポーツカーに方向転換されたという若干複雑な経緯を持つ。 そのため、センターモノコック+サブフレームの先進的なシャシー構造や、もともと航空機メーカーの「ブリストル・エアクラフト」で活躍した空力スペシャリストで、ジャガーに移籍したのちはCタイプやDタイプも手がけたマルコム・セイヤーが担当した空力ボディデザインも、ともにDタイプから発展したものとなっていた。 生産モデルのボディタイプは、前任モデルに相当する「XK150」時代の「ロードスター」と「ドロップヘッド・クーペ」を統合したオープンモデル。現在では「ロードスター」と表記されてしまうことの多い「オープン2シーター(いわゆるOTS)」と、特徴的な横開き式ハッチゲートを持つ「クーペ」の2本立てとされていた。 またパワーユニットも、Dタイプの流れをくむもの。とはいえ、ジャガーの凄いところはXK150、あるいは「マーク2」サルーンなどにも採用されていた量産エンジン「XK」型直列6気筒DOHCユニットをパワーアップして、ル・マンで大活躍したDタイプにも載せていたことであろう。それゆえ、実質的にはXK150の高性能版3.8S用エンジンのパワーを15psほど上乗せ、265psまで増強しつつキャリーオーバーすることになったのだ。