山頂付近でのテント泊に憧れる! 日帰り登山からワンステップ進むためのテント泊登山入門
アウトドアブームの昨今、これから登山をはじめようという人も多いはず。今回は「日帰り登山」からワンステップ上がった「テント泊登山」についての基本&注意点をご紹介します。 【写真】テント場でのマナーやルールを見る(全8枚)
「衣食住」を背負って進むテント泊登山
「テント泊登山」とは山の中にテントを設営して宿泊するアクティビティで、日帰り登山に慣れたらチャレンジしたい少し上級者向けの登山です。宿泊するために「衣食住」のすべてを背負うことになるので、体力はもちろん事前の準備がとても大切。 まずは登山計画をしっかり立てましょう。ルートやキャンプ場を決めて、飲料水を手に入れられる水場の確認、難所への対策や緊急時のエスケープルートなどを踏まえて、無理のないように計画することが重要です。 登山計画を立てる際に気をつけたいのが、山でテント泊ができるのは基本的に「キャンプ指定地」(テント場)のみということ。指定地までの道のりや時間をしっかり確認し、余裕を持ったコースを選択しましょう。山の天気は変わりやすいため、天候の安定している時期を選ぶのも大切。テント場の近くに営業している山小屋があると、なお安心です。まずは1泊2日の計画から始めてみましょう。
登山者のレベルによって選べるテント場の種類
テント場には大きく分けて3つの種類があります。初心者におすすめなのが、登山口付近にテント場が設置されている「登山口型」。安全かつ少ない労力でテント泊が楽しめます。 山頂の手前にキャンプ場がある「ベースキャンプ型」は、初日に山の中腹まで登り、翌日登頂・下山をする必要があるため難易度が少しアップ。最上級は、山頂付近や稜線に設置された「稜線型」のキャンプ場です。こちらは行がハードなものの星空や雲海など絶景が魅力。まずは登山口型からスタートして、徐々にステップアップしてみてください。
テント泊をする上で特に気をつけたいこと
登山者が利用するテント場のルールとマナーは、一般的なキャンプ場とは違うので注意が必要です。テントの設営は基本的に到着順。敷地には限りがあるので、グループで行く場合はなるべく複数人用のテントを使うなど省スペースを心がけましょう。良い設営場所の確保や日没までに食事の後片付けまでを終わらせることを考えると、テント場には14時頃までに着くようにするのがベスト。また早朝から登山に出発する人もいるため、夜遅くまで騒ぐのはマナー違反です。 ゴミの処理にも気をつけなければなりません。気温の低い山では残飯や茹で汁などが分解されずに環境汚染につながります。さらに、その匂いが本来そこにいないはずの動物を呼び寄せることで生態系を破壊することも。ゴミを最低限にする工夫と、山で出たゴミはすべて自分で持ち帰るのは必須のマナーです。 最後に、テント泊登山の注意点としてとても大切なのが防寒対策。標高の高い山は夜になると気温がぐっと下がるため、寒さは大敵です。近くに山小屋があっても防寒具の貸出等はないと考えて、保温力の高い寝袋や寝袋の下に敷くスリーピングマット、テントシューズなど準備の徹底が必要になります。 通常のキャンプよりも難易度の高いテント泊登山ですが、下調べや準備を徹底することで、普段とは違う特別な時間や景色、登頂による達成感を十分に味わうことができます。この機会にぜひ、テント泊登山をしてみてはいかがでしょうか。
野中陽平