日本ハム・清宮幸太郎の“覚醒”は「性格の良さあってこそ」恩師・荒木大輔氏が語る苦悩の日々と成長「村上宗隆と比較されても自分は自分と…」
プロの壁、怪我…苦悩の時期
荒木氏が二軍監督を務めた3年間は、まさに清宮の駆け出しの時期だった。大きな期待と注目を集めて入団しながら、プロの壁にぶつかり、怪我も重なってなかなかブレークできない。明るく振る舞いながらも、もがき苦しむ姿を見守ってきた。 「最初は練習の流れをこなすのにも戸惑ってバタバタしていましたね。やらなければいけないことに精一杯という感じで、自分のバッティングというものをなかなか確立できなかった。もちろん、焦りもあったと思います」 この時期、同学年のヤクルト・村上宗隆はプロ2年目で大ブレーク。高卒ルーキーとして数々の最年少記録を塗り替え、一軍で全試合に出場し、36本塁打、96打点という驚異的な成績を残している。「清宮世代」はいつの間にか「村上世代」に。後に史上最年少の三冠王となるスラッガーと比較されることも多かったが、清宮は腐らなかった。
村上宗隆と比較されても…
「最近でこそ言われなくなりましたけど、あの頃、日本を代表するバッターと比較されるのは大変だったと思います。高校時代の印象が強い分、過去の自分に囚われて苦しんでしまう選手も多い。でもそこで頑張れたのは彼の性格の良さがあってこそだと思う。 いい意味で“のんびり屋”で、人と比較したり羨んだりせず、自分の芯をしっかり持っている。周りにどう見られても自分は自分、とマイペースを貫けたのも良かったのだと思います。ただこれで安心というわけではなく、この先2年、3年と結果を残し続けなければいけないですけどね」 “親心”のような眼差しを向ける荒木氏。清宮のみならず万波中正や田宮裕涼ら、今のチームの主力となった若手はほとんどが二軍監督時代に見てきた選手だけに、感慨はひとしおのようだ。
躍進の陰に栗山前監督の功績
「清宮、万波、田宮、そして松本や淺間大基も、僕がいた頃は怪我が多くてほとんどファームで過ごしていました。ピッチャーでもファイナルステージの初戦の重責を担った伊藤大海は、一軍投手コーチ時代(2021年)に入ってきた選手です。その顔ぶれがここまで成長して、チームのためにやれる選手になったんだ、というのは本当に嬉しいです。 もちろん、その陰で彼らを辛抱強く起用し続けてきた栗山(英樹)監督の功績というのは忘れてはいけないと思います。ヤクルトで言えば関根(潤三)監督がじっくりと育てた選手を野村克也監督が花開かせたように、チームの躍進の陰には種を蒔いて水をやり続けた時間があるものです」 レギュラーの多くは二十代半ばと他チームと比較して格段に若い。山﨑福也、郡司裕也といった他チームから移籍してきた戦力が安定して力を発揮し、今季はレイエスら頼もしい助っ人の活躍も大きかった。 「今のチームは年齢構成的にもバランスがいい。数年後にはこの選手たちが中心になってチームを引っ張っていくでしょう。そう考えるとファイターズの強さはしばらく続いていくと思いますよ」 日本シリーズ進出の夢は消えたが、若さ溢れるファイターズはさらに、ファンを魅了するチームに成長していきそうだ。(前編も公開中)
(「プロ野球PRESS」佐藤春佳 = 文)
【関連記事】
- 【前編から読む】「敗れて潔し」日本ハム・新庄剛志監督が示した“ポジティブ効果”「野村克也監督がお元気なら、お小言を連発しているかも(笑)」大胆采配を解説
- 【超秘蔵写真】「キラキラお目目が超絶可愛い!」清宮幸太郎(3歳)が親子リレーで疾走…本人提供の少年時代秘蔵ショット、新庄監督の衝撃パフォーマンスなど発掘写真を一気に
- 【秘蔵インタビュー】清宮幸太郎(24歳)“野球よりラグビー”だった速くてデカい少年時代「強すぎて仲間が辞めちゃった」「味方にタックルしてトライ」は本当?
- 【人気】清宮幸太郎が覚醒、緻密な作戦も…「3年目の新庄剛志は何が変わった?」岩本勉が語る“新庄野球”の正体「実は野村克也監督の色違いなんです」
- 【ゆあビーム秘話】「あのタイプは大成しない」野球界の“通説”を覆した田宮裕涼(ゆあ)「プロは無理だぞ、諦めろ」から日本ハム入りを叶えた“最後の夏”の大逆転劇