失礼ではない? 舌打ちするベトナム人を叱ってはいけない理由 「働く外国人」職場でモヤッとした時の付き合い方
「氷山の形状が異文化コミュニケーションを説明するのにうってつけ」と言ったのは、ここに理由があります。 異文化の相手の場合、この水面下の部分を理解しないまま、水面上の部分だけですべてを判断すると必ず評価を間違えます。 ■舌打ちする相手を責めていけない 1つ、具体的な例をお話ししましょう。 初めてベトナム人と接したとき、会話中にやたら舌打ちをされるので、面食らうことがあります。「自分は普通に接しているのに、なんで彼は舌打ちをするんだ?」と、相手をいぶかしく思う場面がきっとあるはずです。
ただベトナム人は、つねにネガティブな意味合いで舌打ちをしているわけじゃないんです。おいしい料理を食べたときや、きれいな景色を観たとき、サッカーの試合で選手が好プレーをしたときにも舌打ちをします。「うわー、すげー、ヤバい」という意味で、「チッ、チッ」と舌を鳴らすのです。 ベトナム人のこの習慣を知らなければ、「人前で何度も舌打ちをするなんて、本当に失礼なヤツだ」と感じるはずです。マイナスの印象を持ってこのベトナム人と接しますから、なかなかコミュニケーションは深まらないでしょう。
だから、違和感を覚える出来事があったときはまず、自分が知らない事実が裏に隠れているかもしれないと思ってください。異文化の相手とうまくコミュニケーションを取るには、水面下にある相手のあたり前を正しく理解することが必要なのです。 ■気をつけたほうがいいNGジェスチャーは? 以前、ある会社で外国人社員むけ研修をしたときの話です。 その研修の参加者は26人。国籍の内訳は、中国、台湾、韓国、ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピンの計7カ国・地域に及んでいました。
講義で、「最も嫌な仕事中のマナー違反」をテーマにディスカッションしてもらったところ、図らずも全グループから同じ意見が出たのですが…… 何だと思いますか? それは、人さし指で顔を指されることです。 「やられたら、相手が上司でもやめてもらうようお願いする」とコメントした人も何人かいました。実は人さし指で顔を指す行為は、日本で働く多くの外国人が嫌がるNGマナーなんです。 アメリカでは、人さし指で誰かを指す行為は「お前が悪い!」「お前を非難する!」という意味になります。マレーシアでは、人さし指で指された相手には悪魔が宿ると考えられています。この両国でも、顔への指さしはかなりのNG行為です。