「私が世話している」野犬にエサを与え続ける老人 医療ケアもせず体はボロボロだった
群馬県の赤城山付近では、野犬が増えた時期がありました。増えた理由の一つは、地元の老人たちによる「エサやり」。 【写真】他のワンコに寄り添ってあげる優しさも 食べ物に困った野犬たちをかわいそうに思い、エサを与え続けていたのだと思いますが、かと言って適切な医療ケアや不妊手術を施すわけでもなく、結果的に野放しとなり、野犬がどんどん増え、同時に悲しい結末を迎えるワンコも増えていったというわけです。 2024年、前橋市保健所に2度も収容されたメスの梅梅もそんなエサやりによって行き場を失うことになりました。
2度も保健所に収容された経緯
赤城山付近で、地元の人からのエサやりを受けながら、命を保っていた梅梅。体中の皮膚が荒れ、目の周りはガサガサ。歯はほとんど残っておらず、衰弱した状態で保健所に収容されました。 その後、ある人が保健所を訪ねてきました。聞けば、「私が世話しているワンコだから返してほしい」とのこと。状況から梅梅にずっとエサやりをしていた人のようです。職員は半信半疑ながらも「野に放さず、必ず家で飼うこと」を条件に引き渡しました。 ほどなくして職員が近隣を巡回してみると、梅梅が野放しでフラフラとさまよっているところを発見。再び保健所に収容することになりました。あの日「世話している」と言った人は、梅梅を迎えに来ることはありませんでした。
甲斐犬の血が入る、賢く優しいワンコだった
こうした経緯を経て、梅梅は後に保護団体・Delacroix Dog Ranchに引き出され、適切なお世話を受けることになりました。 元野犬ですが、被毛にブリンドルと呼ばれる虎のような縞模様がまじっており、甲斐犬の血が入っていると思われました。勇猛な性格のワンコが多い甲斐犬ですが、梅梅の性格は極めて穏やか。 甲斐犬の良いところだけを引き継いでいる様子で、心を許した人には、限りない忠誠心と愛情を示す一方、大きな音や他のワンコの威嚇にも動じず、自分より小さなワンコに寄り添うような優しさも持ち合わせています。
「本当のお家」「本当の家族」との出会いを目指して
保護団体で歯と目の治療や皮膚ケアも受けた所、みるみる元気を取り戻しました。そして、月齢は当初の推定よりも若い10歳前後ということもわかりました。 今後も目薬と皮膚ケアが必要で新しいお家探しは容易ではないかもしれませんが、いつの日か「本当の家族」との縁を掴み取ってくれると良いなと思いました。 (まいどなニュース特約・松田 義人)
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