【イチから知りたい】広島サミットで注目「グローバルサウス」 台頭の背景と日本の支援の「強み」とは?
アメリカがいわば「不得意」なグローバルサウスへの関与で、日本政府がG7を引っ張れると考える理由はこうした点にあるのだ。 例えばJICA=国際協力機構の活動を見てみると、ソロモン諸島では今年3月、日本の支援によって国際空港のターミナル改修が完了するなど、生活に関わる重要なインフラの整備を日本が担当することも多い。また、地震や津波など、災害への対応が急務となっている太平洋島しょ国では、日本の防災技術を生かして、防災無線などの早期警戒・ 観測システムの整備を進めている国もある。
一方、先ほど取り上げたブラジルでは 治安維持のために、地域密着型の日本の警察の「交番」制度が導入されている。日本の警察官らが「専門家」として実際に現地で指導し、犯罪件数の減少に貢献。 現在は中南米各国にも交番制度が広がりつつあるという。
■サミットではさらなる支援打ち出し 今後問われる「実行力」
こうした状況を背景に行われた今回のG7広島サミット。議長国の日本はインド・ブラジルなどグローバルサウスの国々を招待し、招待国も交えた会合を開いて今後の支援の方向性などを議論した。会合や成果文書では、 ・世界の食糧危機に共同で対応していくこと ・G7としてインフラ投資支援を具体的に進めていくこと ・各国のニーズに応じてきめ細かな支援を行う重要性 などが確認されたほか、岸田総理は気候変動や食料安全保障支援などのために、JICAによる40億ドル(約5500億円)規模の融資枠を新たに創設する方針も表明した。 今回のサミットについて、シンクタンク「国際危機グループ」のゴーワン国連部長は「日本はグローバルサウスの抱える懸念に配慮する姿勢をみせ、G7として良い戦略と方向性を示したが、成果文書で示した約束を具体的に実行していく必要がある」と指摘している。今後の日本とG7には、支援強化や問題解決に向けた「実行力」が問われることになる。