【イチから知りたい】広島サミットで注目「グローバルサウス」 台頭の背景と日本の支援の「強み」とは?
●ソロモン諸島 太平洋に浮かぶ島国のソロモン諸島は、2019年に台湾と断交後、2022年に中国と安全保障協定を締結した。内容は非公開とされているが、 ・有事に中国に軍や警察の派遣を要請できる ・中国の船舶が寄港・補給できる などとした草案とされる文書が流出。アメリカなどからは「中国がソロモンを太平洋上の軍事拠点として利用しようとしているのではないか」と懸念の声が上がった。最近ではソロモン政府のWEBサイトで、中国の警察がソロモンの警察に治安維持のための訓練を行っていることも公表されている。 さらに経済面での中国への接近も顕著だ。ソロモンでは今年、太平洋地域の国際スポーツ大会が開かれるため、競技場の建設、さらに大会のテレビ中継を家庭で見るための電波塔などの建設に、中国が巨額の支援を行っている。 こうした動きをうけ、アメリカは今年、30年ぶりにソロモン諸島に大使館を復活させ、関与強化を図っている。
中国の海洋進出が強まる中、ソロモン諸島だけでなく、太平洋島しょ国全域で、米中両国のせめぎ合いは激しさを増している。5月にバイデン大統領がパプアニューギニアを訪問する計画は、アメリカの債務上限問題の影響で流れてしまったが、ブリンケン国務長官が代わりに訪問し、パプアニューギニアとの防衛協力協定に署名した。
●ブラジル 今回の広島サミットにも参加したブラジル。今年、再び大統領職に就いたルラ大統領が中国に接近し、アメリカと摩擦を生むような動きを見せている。
4月には北京を訪問して習近平国家主席と会談。投資促進や人工衛星の共同開発、情報通信技術の協力など15の覚え書きに署名した。また、ブラジルとビジネス上の結びつきが強い中国企業も訪問。アメリカが制裁を科している通信大手ファーウェイの施設も訪れ、中国の投資を呼び込む姿勢を鮮明にした。