【イチから知りたい】広島サミットで注目「グローバルサウス」 台頭の背景と日本の支援の「強み」とは?
ブラジルでは、ルラ氏が中国で訪問した中国EV大手のBYDが事業を拡大し、電気自動車や電気バスの輸出などを増やす。またブラジルへの中国の直接投資案件は電力関連の事業が多く、生活の重要インフラに中国が大きく関与していることがうかがえる。 そのルラ大統領、広島サミットではウクライナ侵攻について、先進国しかいないG7ではなく、国連で議論するべきだと主張。独自の和平案を提案する中国などと協力する姿勢も強調した。ただ、サミットではゼレンスキー大統領との会談は実現せず。一方でサミット後の26日にはロシアのプーチン大統領と電話会談し、「ブラジルがインド、インドネシア、中国とともに、平和を求めて紛争の両側と対話する意思があることを改めて強調した」という。
■日本のグローバルサウス支援の特徴は「質」と「人」
中国が関与を強めているグローバルサウス各国だが、長年途上国支援を行ってきた日本には、どのような強みがあるのだろうか。国際協力機関の関係者や外交関係者への取材をもとに、中国・アメリカと比較してみる。
●中国 官民一体となり、電化製品などの生活品から建物・インフラまで、大規模な投資や支援を行うのが特徴。一方で、提供するインフラの質や、中国からの過剰な融資で相手国の財政が悪化する、いわゆる「債務のワナ」など問題も指摘されている。 ●アメリカ 災害復旧支援など、人道支援についてはスピード感や規模などの面で強みがあると指摘する。一方で、長期的な目線での開発支援はあまり得意ではないとの声も上がる。 またある外交筋は、「アメリカはいつも安全保障の話から入ってしまうが、グローバルサウス各国は食料問題や経済、気候変動問題に関心があり、ずれがある」と指摘する。いわば「世界の平和と安定のことを考えましょうよ」というアメリカの姿勢が「上から目線に見えてしまう」ことがあるというのだ。 ●日本 一方の日本の支援については、多くの関係者が、 ・各国の国づくりに貢献する質の高いインフラ支援 ・専門家を直接現地に派遣し、相手国の人材育成にも関わる「人と人とのつながり」を通じた支援 こうした支援を長年行っている点に強みがあると指摘する。こうした実績によって、多くのグローバルサウスの国から「日本は対等に話せるパートナーだ」と見なされているという。