【イチから知りたい】広島サミットで注目「グローバルサウス」 台頭の背景と日本の支援の「強み」とは?
日テレNEWS
NNNワシントン支局の渡邊翔記者が解説するのは「G7サミットで日本が主導『グローバルサウス』への関与強化」。最近ニュースでよく聞く「グローバルサウス」と呼ばれる国々。注目されるワケ、そして広島サミットで何が決まったのか解説する。
■岸田首相がサミットの”重要テーマ”に 「グローバルサウス」とは?
5月19日から21日まで行われたG7広島サミットでは、ゼレンスキー大統領の対面でのサプライズ出席や、核軍縮に向けた議論が大きく注目された。そんな中で、日本がもうひとつ、大きく力を入れていたのが、「グローバルサウス」各国との関与強化をG7として打ち出すことだった。 岸田首相は初日の会合で早速、サミットの大きな2つのテーマのひとつとして、「G7を超えた国際的なパートナーとの関与を強化すること、これをG7として明確に打ち出したい」と述べた。
岸田首相が触れた「国際的なパートナー」、これが「グローバルサウス」と呼ばれる国々のことだ。「グローバルサウス」という言葉に明確な定義はないが、アフリカや中南米、アジアなどの新興国・途上国をまとめて指す言葉とされ、インドのように「サウス=南半球」にない国も含まれる。
■ウクライナ侵攻で高まるグローバルサウスの存在感
岸田首相が「グローバルサウス」をサミットのテーマとして重視した背景には、国際情勢をめぐる2つの大きな動きがある。 1つ目は、世界経済全体の中でのG7の力が落ち、G7だけで問題を解決するのが難しい状況の中で起きた、ロシアによるウクライナ侵攻。国連などで大きな「数」を持つグローバルサウス各国の影響力の大きさが改めて浮き彫りになった。
G7をはじめとする西側諸国はロシアや中国などとの対立が深まる中、国際秩序や自由・民主主義を重んじる側につく国を増やそうとしている。しかしグローバルサウス各国は、どちらにつくかを明確にせず、「中立」を掲げて両方とうまく付き合うことで、存在感を高め、自分たちの国益を確保しようとしているのだ。
たとえば、グローバルサウスの代表格とされるインドのモディ首相。去年のプーチン大統領との会談で「いまは戦争の時代ではない」と直接苦言を呈した。一方で、G7が制裁として行うロシア産原油の上限価格設定には協力せず、むしろ輸入量を増やしている。